この記事をまとめると
■長きに渡ってホンダのフラッグシップサルーンとして発売されていたレジェンドにはクーペが存在していた



■レジェンドクーペは発売当初は「2ドアハードトップ」を名乗り、2代目となって初めて「クーペ」を名乗った



■レジェンドに2ドアモデルが設定されたのは2代目までで3代目登場とともに姿を消した



発売当初はクーペではなく2ドアハードトップを名乗っていた

先日、大御所のお笑い芸人がホンダ・レジェンドクーペを購入したというニュースが報じられた。最近は芸能人が自身の愛車を紹介する番組もあり、クルマを購入すること自体はもちろん珍しい話ではないけれど、今回は購入したクルマが35年も前に生産された1989年式ホンダ・レジェンドクーペだったことで話題となった。



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レジェンドといえば長きに渡ってホンダのフラッグシップサルーンとして発売されてきたモデルだが、2022年1月で日本国内市場における販売を終了している。

ボディタイプはセダンの1種類のみで、レジェンドにクーペなんてあったんだ! と、このニュースを聞いて初めて知ったという人もいるに違いない。というわけで、あらためてレジェンドクーペとはどんなクルマだったのか、振り返ってみよう。



ホンダが「レジェンド」の車名を持つモデルを初めてリリースしたのは、1985年11月のこと。国内市場におけるライバルは、トヨタ・クラウンや日産セドリックといったところ。ただ、レジェンドはそれらの競合車種とは異なり、ホンダがアメリカ市場において展開する高級車ブランド「ACURA(アキュラ)」からも販売されることが決まっていた。



レジェンドって単なるオヤジセダンじゃないんだぜ! ソアラやレパードなんて目じゃないレジェンド・クーペの存在感
ホンダ・レジェンド(初代)



そのため、2リッターエンジン搭載車は全幅1700mm以内の5ナンバーサイズながら、2.5リッターエンジン搭載車はひとまわり大きな全幅1735mmの3ナンバーサイズという、2種類のボディを持つ最上級セダンとして開発された。

そして、4ドアセダンから1年半ほど遅れ、1987年2月に発売されたのが2ドアクーペである。



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ホンダ・レジェンド2ドアハードトップのフロントスタイリング



ところで、これまで「レジェンドクーペ」と表記してきたが、ホンダの公式車名では「レジェンド2ドアハードトップ」を名乗っている。それは左右ドアに窓枠のないサッシュレスタイプを採用しているためだが、Bピラーそのものは存在しており、そのため厳密にはピラードハードトップと記すのが正しいだろう。一般的には、車体剛性や機密性で不利になりやすいといわれるサッシュレスドアだが、ドアを開けたときの美しさをはじめ、優雅さを感じさせる佇まいを演出しているアイテムとして1980~1990年代には多くの車両で採用されていた。



アメリカでの大型クーペの人気凋落でレジェンドクーペも終了

レジェンド2ドアハードトップは、セダンと比べて大きく傾斜したフロントウインドウや薄く長いフロントノーズ、大型のリヤクォーターウインドウが印象的。さらにサイドまでまわり込んだラップラウンドリヤウインドウなどにより、すっきりと伸びやかなフォルムとなっている。



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ホンダ・レジェンド2ドアハードトップのサイドビュー



ボディサイズは全長4775×全幅1745×全高1370mmで、セダンと異なり全車が3ナンバー。とはいえ3ナンバーのセダンとも共通ではなく、全長は65mm短く、全幅は10mm狭く、全高は20mm低い。ホイールベースも4ドアは2760mmであるのに対して2ドアは2705mmへと短縮されている。



いっぽうでリヤのトレッドは40mm拡幅され1500mmとなっており、2ドアモデルらしくロー&ワイド感を強調している。また、足まわりも2ドアハードトップは前後ともダブルウイッシュボーン式サスペンションを採用するなど、基本設計こそ両車で共有しているものの、多くの部分が2ドアモデルは専用開発という贅沢な内容となっている。



フロントに横置き搭載されるエンジンはC27A型の2.7リッターV型6気筒SOHCで、最高出力180馬力/6000rpm、最大トルクは23.0kgm/4500rpmを発揮。

トランスミッションは4速ATが組み合わされた。SOHCながら各気筒4バルブを備え、燃焼効率を最大限に高めるセンタープラグ方式を採用することで、高出力と低燃費を高次元で両立させていた。



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ホンダ・レジェンド2ドアハードトップのV6エンジン



そして、フラッグシップモデルらしくインテリアも豪華だった。インパネには天然銘木を用いた本木目コンソールを採用したほか、シート表皮は100%ウールモケット素材、または本革という2種類の高級素材を使用。シート本体も長時間走行でも疲れにくい形状とし、電動の位置調整機構やドアの開閉に連動してシートベルトが取りやすい位置にセットされる、電動ベルトリーチャーを運転席に採用している。



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ホンダ・レジェンド2ドアハードトップのインパネ



1980年代終盤に人気を博したスペシャリティクーペといえば、トヨタ・ソアラや日産レパードが有名だけれど、レジェンドはさらに1クラス上の車格となり、圧倒的な高級感を備えていた。

それだけに車両価格も華やかで、2ドアハードトップは4ドアセダンの最上位モデルより約70万円も高い385万円とされた。



その後、レジェンド2ドアハードトップは1988年と翌1989年にマイナーチェンジを受け、1990年に販売を終了。1991年1月には、フルモデルチェンジを受けた2代目モデルが登場した。そしてこの2代目モデルでは、車名が「レジェンドクーペ」へと変更された。



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ホンダ・レジェンドクーペ



しかし、レジェンドにとって日本国内以上に主要なマーケットであった北米市場では、ビッグサイズクーペの人気に少しずつ陰りが見えていたことなどもあり、レジェンドに2ドアモデルが設定されたのは2代目まで。1996年に登場した3代目レジェンドでは4ドアセダンのみとなった。