この記事をまとめると
■ミニバンや軽自動車には福祉車両というカテゴリーが存在する■新型フリードは「福祉車両」ではなく「スリーウェイマルチムーバー」と名称を変更した
■福祉車両は福祉以外の使い道でも役に立っている
福祉車両のスロープがアウトドアで大活躍!
「福祉車両の概念を取り払い、もっといろんなことに使ってほしい」という願いを込めて、スリーウェイマルチムーバーとして生まれ変わったのが、新型のホンダ・フリードに登場したサイドリフトアップ仕様やスロープ仕様。もともと、2012年に初代N-BOXの追加バージョンとして登場したN-BOX+(プラス)に、オプションでスロープをつけることができ、ミニバイクを積んだりキャンプ道具を積んだりするのに大活躍、と話題となったところがきっかけとなっています。
2代目N-BOXでは、名称を車いす仕様からスロープ仕様に変更して、折りたたみ式のスロープを引き出す手順を約半分以下という簡単さに。

もちろん、最新となる3代目のN-BOXにもスロープ仕様があり、スロープの引き出し手順はわずか3ステップにまで短縮。より簡単に使えて、普段はフラットな2段式ラゲッジのように使うこともできます。電動ウインチもリモコン式で使いやすいので、アウトドアの荷物を満載にしたワゴンなども、ラクラク積むことができるようになっています。

こうしたスロープ仕様車はホンダではN-BOX、フリード、ステップワゴンに設定されており、トヨタではノア/ヴォクシー、シエンタに設定がありますが、じつは自転車やバイク、ワゴンやスーツケースといった重い荷物を積み込むこと以外にも、アイディア次第でいろんな使い方ができ、開発チームのアンケートや聞き込みによれば、実際に驚きの使い方が明らかになったそう。
たとえば、音楽が趣味の人で圧倒的に多かったのが、バンドでドラムを担当している人がドラムを運ぶという使い方。N-BOXだと少しスロープの幅が足りないそうですが、普通車のスロープはなかなか便利だとのこと。また、フリードの開発チームは、実際に「和太鼓を運ぶのに使ってます」というユーザーに会うことができたといいます。たしかに、楽器を運ぶには天井の高さもしっかり確保されているので、ピッタリですね。

また、かなりレアなケースではありますが、驚きの使い方が。
自宅の目の前に駐車場と玄関前の敷地とを隔てる小さな川が流れており、いつも橋を渡って家に入るところを、川ギリギリまでN-BOXをバックで寄せて停車し、スロープを橋のように引き出して玄関前に渡し、荷物をスロープを通してダイレクトに自宅まで運ぶことができるようにしているとのこと。
助手席リフトアップシートも使い道多し
さて、福祉車両には助手席リフトアップ/サイドリフトアップという仕様もあり、主に車椅子からの乗り換えが便利になる機能なのですが、こちらも別の使い方をして楽しんでいる人がいるそうです。アウトドアが趣味で、よくキャンプやBBQをするという人のなかには、簡易チェアの代わりにこのリフトアップシートを外に出し、くつろいでいるとか。

たしかに、一般的なアウトドアチェアよりもクッションがしっかりしているし、座り心地がよさそうです。戻すときにはスイッチ操作で電動で車内に戻せるので、後片付けもラクですね。
助手席リフトアップ仕様はフリード、ヤリス、シエンタ、ノア/ヴォクシー、後席がリフトアップするサイドリフトアップ仕様はステップワゴン、アルファードなどに設定されています。

ということで、多様性が叫ばれたり超高齢化社会がやってきたり、福祉は特別なものではなく自分ごととして捉えることが必要な時代。福祉車両も特別なものではなく、もっと自由な視点で使う人たちが増えるといいですね。
ちなみに、福祉車両として販売されている仕様は、購入時の消費税が非課税となっていますので、コスパ的にもメリット大です。これは誰が購入しても消費税が非課税で中古車も同様。リース契約の場合は月々のリース料が非課税となります。ただし、登録などにかかる手数料は課税対象です。