リヤが流れること=オーバーステアではない
自動車関連用語には様々な専門用語があります。試乗インプレッションを読んでいても、そうした専門用語がたくさん書かれていて、意味が理解できないというビギナーに向けて、代表的なワードを解説します。
1)アンダーステア(under steer)/オーバーステア(over steer)
自動車のハンドリングを解説する時に、オーバーステア(単にオーバーと略すことが多い)とかアンダーステア(単にアンダーと略されることも)とかと表現されます。これは操縦特性を表す用語で、英語がベースになっています。
アンダー/オーバーは旋回時の回転半径が操舵装置(ハンドル・ステアリング機構)の稼働範囲(いわゆる前輪の転舵角)から予測されるより大きくなってしまうことを「アンダーステア」と呼び、逆に小さくなることを「オーバーステア」と呼びます。一般車の場合、意図的にアンダーステアに調整されていることが多く、そのほうが安全性は高いと言われています。ハンドルを切っても曲がりにくい現象は一般ドライバーでも感知しやすく、スピンの危険性も低いと考えられるからです。
一方、オーバーステアはハンドル切れ角に対し、より小さな旋回半径で曲がってしまう現象です。クルマのノーズがインに向きやすく、速く軽快に走るには都合のいい特性ですが、ハイスピードで起こるとスピンの危険性も高まり、乗りこなすには高い運転操縦スキルが必要になります。リヤが流れることがオーバーステアだと捉えられがちですが、正確には設定旋回半径より小さく旋回すること。
リヤが流れて結果としてフロントがイン側を向くことになりますが、旋回半径が小さくならなければオーバーステアではありません。リアがスリップして前輪も外側に流されているなら4輪が旋回グリップ力を超えた遠心力を受けている状態となり、それは4輪スキッドアウト(skidout)状態と表現します。
このようにクルマの動的特性を説明するには英語表記を駆使しなければなりません。スバルはかつてアンダーステアを「発散」、オーバーステアは「収束」と日本語に置き換えて社内用語として使っていたそうですが、広く自動車社会に浸透させられなかったそうです。
ドライバーの期待値通りに曲がっていくのがニュートラルステア
2)リバースステア(reverse steer)
アンダーステアからオーバーステアへと旋回中に特性が変化する場合に用いるワードです。「アンダー/オーバー」と表する場合もあります。
オーバーステアからアンダーステアに変化することもありますが、その場合にはタックインと呼びません。
3)ニュートラルステア(neutral steer)
旋回時にステアリング操舵入力に対しトレース性(trace)が高く、期待値通りに旋回していく状態をニュートラルステアと呼びます。前後の重量バランスが良く、旋回半径に対して十分なグリップ力のあるタイヤを装着している場合等に得られる特性です。ニュートラルステア特性のまま旋回速度を高めていくことができればハイスピードコーナリングとしては理想的なハンドリング特性だといえます。ミドシップレイアウトのスポーツカーやレーシングカーなど速さを追求する上で求められる好特性といえますが、実現するのは難しいのです。
これらの語句は英語を直訳しても意味不明なため、正しく理解して使う必要があるのです。

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