漢字エンブレムで中国製か外国製かを判断できる

中国では欧米や日系、韓国などの外資ブランドでは、販売車種の多くを現地合弁会社の工場で生産し販売するのが一般的。たとえばトヨタブランドでみると、中国国内で販売されているトヨタブランド車はアルファードとヴェルファイア以外のモデルは中国国内で生産されている。なお、レクサスブランド車はすべて日本生産モデルが中国で販売されている。



同じブランドのラインアップのなかで、中国製造か中国以外の国で製造された輸入車なのかを一目で判断できるポイントがある。それは“漢字のバッジ”があるかないかである。たとえば、合弁会社のひとつである広州トヨタで生産されている、中国市場向けのC-HRのリヤには“広汽豊田(広州トヨタの意味)”というエンブレムがついている。



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また、もうひとつの合弁会社となる一汽トヨタで生産されるカローラセダンのリヤには、“一汽豊田”という漢字のエンブレムがついている。このような漢字プレートがあると、中国国内で生産されたモデルとなるのである。



ステイタスは「漢字」のアリナシ! いま中国人が気にする「エンブレム」による階級意識



トヨタ以外では、日系ブランドの一例では日産ならば“東風日産”もしくは“鄭州日産”となり、インフィニティは“東風英菲尼迪(東風から後ろはインフィニティの当て字)”、ホンダは“東風本田”と“広汽本田”というバッジがリヤについていれば、中国現地生産モデルとなる。



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メルセデス・ベンツは北京奔馳、BMWは華晨宝馬

日系ブランド以外では、GM(ゼネラルモーターズ)車には“上汽通用(通用はGMの意味)”、フォードは“長安福特(福特がフォードの当て字)”、メルセデスベンツは“北京奔馳(奔馳でベンツの当て字)”、BMWは“華晨宝馬(宝馬がBMWの意味)”、VW(フォルクスワーゲン)は“上汽大衆(大衆はVWの意味)”と“一汽大衆”があり、アウディは“一汽奥迪(奥迪でアウディの当て字)”といったバッジがリヤにあれば、中国現地生産モデルとなる。



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たとえばメルセデスベンツならば、AクラスからEクラスぐらいまでが中国現地生産モデルとなり、CクラスやEクラスには中国限定となるロングホイールベースモデルのセダンも用意される。BMWもセダンでいえば5シリーズぐらいまでが現地生産となる。



ただ、たとえばメルセデスベンツEクラスのなかでも現地生産されるのはセダンのみで、クーペやAMGモデルは輸入車となるので漢字エンブレムはない。BMWやアウディあたりでもこのルールはほぼ共通しているように見える。中国では輸入車に対する関税なども高く、中国外からの輸入となるのは、超高級モデルや高額モデルではないものの少数販売モデルとなる。



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漢字エンブレムがつくか、つかないかがプライド高き中国人民の間では露骨なヒエラルキーを生んでしまっている。そのため、現地生産車を買ったとしても漢字のバッジを剝がしてしまう中国人民もいるとのことである。



日本人も世界的に見れば、日本に輸入される外資ブランドとなるモデルの原産国にこだわることで有名。しかし、中国人民はそれを上まわるレベルで気にしているのかもしれない。



スバルはいろいろあったりもして、中国で販売している車種に中国生産モデルがないのだが、マツダはマツダ6あたりまで現地生産モデルとなり、ブランドステイタスに大きな差が生まれた(スバルのほうが上)。少し前だと、BMW X5からスバル アウトバックへ乗り換えるというケースも珍しくなく、BMWに飽きた富裕層が新たなブランドとしてスバルを選んでいるというケースもあった。



いまは、中国系ブランドも質感や性能を大幅に高めているし、広く中国製品に昔ほどの不信感を持つ中国人民も少なくなっているが、それでも外資ブランド車においては漢字エンブレムがあるかないかで、結構ヒエラルキーの差は大きいようである。

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