担い手不足が心配な、日本の農業を変える新技術。AIのロボットや月で野菜を作る最先端の農業とは。



イタリアンやサラダに欠かせないミニトマト。リコピンなど栄養豊富で見た目もかわいらしく、実は収益も高い人気野菜の筆頭です。

愛知県知多市のミニトマト農場。鈴なりに実ったのは、甘い「サンタスティ」という品種。土に植える有機栽培で、本格的な収穫の時期を迎えています。

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“全自動”でミニトマトを収穫

ここでは、先端技術を活用した「ある試み」が…

“謎の黒い土” 月での農業を可能にする技術?甘いミニトマトの収穫はロボットで 日本の農業を変える最先端技術
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収穫しているのは、人間ではなくロボットです。

(トクイテン 豊吉隆一郎社長)
「決められた予定に従って移動する“全自動”です」

名古屋のスタートアップ企業「トクイテン」が開発したロボット。畑に敷かれたレールの上を動き、全自動でミニトマトを収穫していきます。

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AIが正確に色を判断 熟したトマトだけを収穫

(豊吉社長)
「カメラがついている。このカメラがトマトを見て、AIが判別して収穫する」

熟しているかを見分けるのは2つのカメラ。人間の目と同じく立体的にとらえ、どれだけ熟しているかを色で判断します。

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(豊吉社長)
「画像認識で熟したトマトだけを選ぶ。朝日が直射で当たっているときと、昼間や夕方では(色が)全然違うので難しい」

影になっていても正確に色を判断し、傷つけないよう空気で吸い付けてひとつずつ収穫します。

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動きはゆっくりだけど…昼夜問わず稼働可能

豊吉社長は学生時代、ロボット技術を学んでいましたが、これを人手不足の農業に活用しようと考え、収益の高いミニトマトを自動収穫するロボットを作りました。

(豊吉社長)
「人手不足に対応していくために自動化(が必要)。

トマトのように熟しているか選んで収穫するものは、自動化が進んでいない」

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以前はロボットを動かすのに人の助けが必要でしたが、これは5月から本格稼働させる最新型。動きはゆっくりですが、畑に敷いたレールを自動で動いて全てのミニトマトを収穫できます。

昼夜問わず動かせるため、将来的には完全無人での運用を目指しています。

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ロボットを使って“持続可能”に

(豊吉社長)
「トマト栽培の中で一番時間を使うのが収穫。4月5月に(収穫の)ピークが来るが、他の農家も同じタイミングで働く人が必要になる。元々人がいない中で、すごく大変。収穫はロボットがサポートしてくれて、普段と同じメンバーで回していけると、持続可能になる」

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ロボットが収穫した、傷一つないトマト。今は愛知や東京のスーパーに出荷され、トマトジュースでも販売されていますが、今後は人手不足を補うこのロボット農業そのものの普及を進めたい考えです。

(豊吉社長)
「物事が変わるところを“特異点”というが、農業で収穫だけでなく全体を自動化しようと思っている。自動化ができたら、農業の生産量もぐっと上がる。そのポイント(特異点)を作ろうと」

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“真っ黒の土”が農業を変える!?

農業を変える新たな可能性は他にも…

(TOWING 西田宏平社長)
「土づくりをすごく短い期間で効果が出るようにするプロジェクト」

名古屋大学発のスタートアップ企業「TOWING」の農園。畑の土は真っ黒です。これは単なる黒い土ではなく、農業専用に開発された「炭」です。

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(TOWING 刈谷農園 熊﨑忠農園長)
「炭に微生物をくっつけたもの。

宙炭(そらたん)と言います」

炭の粒を拡大すると無数の穴が。この中に、農業に適した1000種類以上の微生物群を定着させています。これを土に混ぜることで、化学肥料に頼らず有機農法で十分作物が育つことが研究で実証されています。

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最短1か月で土づくり 収穫量は20%増

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TOWINGは、名古屋大学と農研機構の共同研究をもとに微生物群を特定し、炭に定着させる技術を確立したのです。

(西田社長)
「場合によっては10年以上かけてもできないと言われた土づくりを、最短で1か月ぐらいでできるようになる。僕らのレシピで投入すれば、平均で20%くらい収穫量が上がる」

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日本では現在、99%以上の農地で化学肥料が使われ、その原料はほぼ100%輸入のため、農業にかかるコストは上がり続けています。

宙炭を使えば、国産の有機肥料に適した農地を短期間で作れるため、国も大きな期待を寄せています。

将来的には…月面で農業が可能に!?

さらにもう1つ、スケールの大きな期待も…

アポロ計画以来、半世紀ぶりとなるアメリカの有人月探査プロジェクト「アルテミス計画」。月に住む未来も見据えていますが、そこで期待されるのが「宙炭」の技術。月の砂に微生物群を定着させることで、月面で農業ができる可能性があると言います。宙炭の「宙」は、元々宇宙での活用を見据えた名前なのです。

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(西田社長)
「おそらく2040年代に月面基地を作っていく動きが出ているので、そこに僕らの技術が採用されて、現地の食料生産ができるようなプロジェクトを採用され関与していきたい」

人手不足や農地の荒廃など、先行きが心配される日本の農業。しかし、AI・ロボット・微生物の活用など、新たな国産技術で発展も期待されています。

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CBCテレビ「newsX」2026年4月8日放送より

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