準大手ゼネコンの「安藤・間」 強み強化へ新たなM&A戦略

トンネル工事に競争力を持つ準大手ゼネコンの安藤・間<1719>は、自社の強みを一段と強化するため、新たなM&A戦略を打ち出した。

2026年3月に発表した「中期経営計画2028」の中で、これまではM&Aを前面に出さず、アライアンス(連携)中心の施策を成長戦略としていたが、今後は本業の強化策としてM&Aを推進するとしている。

これまでに同社が適時開示したM&Aは、2026年1月のリニューアルに強みを持つシンガポールの建設会社を子会社化した1件だけ。

今後は、本業の競争力を高めるM&Aが増える可能性がある。

追随できない地位の確立へ

安藤・間がM&Aを成長戦略の一つに引き上げた背景には、建設業界が置かれた環境の変化がある。

建設業界では、長期的な人口減少などを背景にした建設投資の縮小が見込まれるほか、建設技能労働者の減少や高齢化による担い手不足などが経営上の大きな課題になっている。

これに加えて、近年は労務費の上昇や資材価格の高騰などがあり、厳しい経営環境下にある。

こうした状況の中、さらなる成長に向けて、自社の強みを一段と強化する姿勢を鮮明にした。

同社は、都市土木ではシールド工事(円筒状の構造物を築きながら掘り進める工事)や大型開削工事などの難しい大型案件で実績を持つほか、山岳トンネルでも豊富な施工実績と自動化や高度化に関する技術を持つことを自社の強みと分析する。

さらに建築分野では、生産施設やリニューアル分野で実績があり、幅広い案件に対応できる点や、長年取引が続く顧客を多く持つことなどを強みとして挙げる。

同社は市場の成長が見込め、自社の強みを活かせる分野を注力分野として選定し、同分野でM&Aを活用して強みを一段と強化する方針を打ち出した。

注力分野として選定したのは、土木分野ではトンネル、シールド、下水道などのインフラ老朽化対策で、建築分野ではリニューアル、生産施設、物流施設、データセンターなど。

さらにエネルギー分野では、原発関連、送電・変電事業、系統用蓄電池関連、水力などに力を入れ、これらの分野で他社が追随できない地位の確立を目指すとしている。

この目標を実現するために積極的な投資を計画しており、技術開発投資、人財投資と並んでM&A投資を積極化する。

2027年3月期から2029年3月期までの3年間に、技術開発に500億円、人財投資に200億円を投じる。

M&A投資に関しては別枠とし、強みのさらなる強化に向けて機動的な資金調達を行い、案件単位で実行する計画だ。

M&Aの投資対象は、注力分野である土木事業、建築事業のほか、LCS(ライフ・サイクル・サポート)事業(改修、保守、管理など)や海外事業でも検討する。

これまでのM&Aは1件のみ

安藤・間は1889年に福岡県で土木建築会社として創業した間組と、1873年に東京都で煉瓦建築を手がける建築会社として創業した安藤建設が2013年に合併して誕生した。

現在は土木事業(トンネル、大型開削工事など)が売上高の31.2%を、建築事業(事務所ビル、倉庫、データセンターなど)が同61.5%を占める。

このほかグループ事業(子会社事業)の同5.6%、その他(その他事業)の同1.7%で事業を構成する。

準大手ゼネコンの「安藤・間」 強み強化へ新たなM&A戦略
安藤・間の売上高構成比

M&Aの実績は少なく、適時開示情報で確認できるのは2026年1月にオフィスや商業施設、教育施設などのリニューアル建築を手がけるシンガポールのQXY Resources Pte. Ltd.を傘下に収めた1件にとどまる。

アライアンスでは、人材派遣会社を関連会社化し、現場施工体制の強化につなげた事例や、BIM技術(建物情報を3次元で管理する技術)に強みを持つ会社を関連会社化し、若手社員の教育や人材交流、共同技術開発などの連携を強化した事例がある。

新たなM&A戦略(中期経営計画2028)の最終年となる2029年3月期は、売上高5500億円(2025年3月期比29.4%増)、営業利益370億円(同5.0%増)を見込む。

自社の強みを一段と強化する取り組みは、この目標数値にどのような影響を与えるだろうか。

文:M&A Online記者 松本亮一

【M&A Online 無料会員登録のご案内】
M&A速報、コラムを日々配信!
X(旧Twitter)で情報を受け取るにはここをクリック

【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック

編集部おすすめ