とくに東京23区内で不動産価格が暴騰している。インフレが進み、金利が上がり、世界経済の行方も不透明な今、「こんなに高くなった家を買ってもいいのか」と不安に思っている人も多いだろう。
初の著書『絶対に失敗しないマンション購入の教科書』より抜粋・再構成してお届けする。
マンション価格はどうなる?
今後のマンション価格は、購入を検討する多くの人が、最も気になるテーマの一つでしょう。人口減少・空き家増加・金利上昇など不動産価格暴落と紐づけされるキーワードがいくつかあります。マクロ環境が大きく変わっていく中で不安に感じるのも無理はないと思います。そこで本記事では、こうしたキーワードをひとつずつ取り上げながら、今後のマンション価格について整理していきます。結論を先に述べると「マンション価格は今後も値上がる可能性が高いが二極化が進んでいく」と予想しています。
人口減少
マンションを購入する層が変わらないまま人口だけが減少すれば、購入需要は縮小し、価格の下落に繋がると考えられます。しかし、実際は、購入者の属性が変化し、多様化しています。近年、シングル・シニア世帯の購入が活発になっているなど、購入層にも変化がみられています。新築マンション購入者に占めるシングル世帯の比率が2010年は12.8%だったのに対し、2024年は17.8%まで上昇しています。同様にシニア世帯は2010年2.1%から2024年は7.1%に上昇しています。
かつては「結婚したら家を買う」ということが一般的でしたが、価値観やライフスタイルの多様化に伴い、マンションの購入層も多様化しています。
一方で供給面を見ると、新築マンションの供給戸数は減り続けています。不動産経済研究所のデータによると首都圏で販売された新築マンションの戸数は2015年度に40,449戸でしたが2024年度には23,003戸と約4割減っています。検討者が多様化している一方で供給数は減り続けています。
需要に対して供給が不足すれば価格は上昇圧力がかかります。また土地価格・建築コストが増加していることに加えてデベロッパーは高値販売できる好立地の企画に注力していることもあり、新築マンションの価格は今後も上昇傾向が続く可能性が高いでしょう。
空き家増加
空き家の増加も、マンション価格の下落要因としてよくあげられます。確かに、日本全体で見れば空き家は増えており、今後もその傾向は続くと考えられます。ただし重要なのは、その空き家が、現在のマンション購入検討者の選択肢になり得るかどうかです。
リクルートのデータによると2024年の新築マンション購入者の世帯平均年収は1,129万でした。また夫婦で購入している世帯の75%は共働きです。つまり都内で働いている共働き会社員が多数を占めます。そんなマンション購入検討者がこれから出てくる空き家に住むという選択を取る可能性は低いです。空き家の多くは、立地や築年数、建物の状態などの面で、購入検討者のニーズと合致しないケースが多いためです。マンション購入検討者の購入候補にならなければ、どれだけ数が増えてもマンションの価格に影響を与えません。
今のマンション購入検討者が求めているのは都内アクセスがよく、できれば駅近、築浅のマンションです。新築マンションの供給数減少の影響もあり、こうしたマンションは決して供給過剰になっていることはないため、空き家問題が価格に与える影響は限定的でしょう。
金利上昇の影響が軽微であると考える理由
金利上昇
日銀のゼロ金利政策が終了し、住宅ローンの変動金利も上がり始めました。金利が上がることでマンション価格は同じでも毎月の支払額が増えるため、マンション価格の下振れ要素になると思われがちです。しかし、私はその影響は軽微であると考えています。
なぜなら多くの人は、「支払える範囲」の中で物件を探しているからです。たとえば、賃貸マンションを探す際は「支払い可能な賃料でソートをかけて、その中で最も条件に合うところを選ぶ」人が多いと思います。
また、新築マンション購入者の平均世帯年収は2010年の765万から2024年は1,129万と大幅に上昇しており、ペアローンの利用率も過去最高値を更新しています。購入検討者が「同じ予算のまま、同じエリアにとどまり続ける」のであれば、金利上昇は価格下落に繋がります。しかし現実には、支払い可能な範囲に応じて検討エリアを調整する動きが主流となっています。
原価の上昇
建築資材の高騰、人件費の上昇に加えて、ゼネコンも安値での受注は控える傾向にあり、結果的にマンション建築にかかるコストは大きく上昇しています。実際、急激に原価が高騰したことで計画が頓挫してしまった再開発計画も出てきています。またデベロッパーの決算資料を見ると土地の仕入れ価格も上昇しています。一例として野村不動産の決算資料を見ると、マンション1戸あたりの土地価格は2021年時点では7,084万円/戸だったのが、2024年では11,079万円/戸と約1.5倍に上昇しています。
マンションの価格は主に土地価格と建築費で決まりますが、その両方が急激に上昇しています。
もちろん全てのマンションが同じように上がっていくわけではありません。希少性のあるエリアや選ばれやすい特徴のマンションはより強く価格上昇し、そうでないマンションはなだらかに上昇もしくは横ばいになっていくと予想しています。
これからは「二極化」が進む
これまで述べてきたように、持ち家のメリットとして「資産になる」点があります。現在マンションを購入している人の購入理由を見ると、最も多いのは「子どもや家族のために家を持ちたいと思ったから」、次いで二番目は「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから」という回答になっています。住まいとしてマンションを買っている人が大多数ですが、不動産の「資産」の側面に注目が集まっているのも事実です。
そして「選ばれやすいマンションとそうでないマンションの差は広がってきている」と書いた通り、資産として見た時に価値が上がりやすいマンションとそうでないマンションの差は広がってきています。これはマンションに限った話ではありません。時計やバッグ、車なども、ごく一部のモデルやブランドばかりが高いリセールバリューを持ち、それが人気を呼んでさらに価値が高まる、というスパイラルになっています。
マンション価格が高くなればなるほど、毎月支払う住宅費を掛け捨てのコストとして割り切ることは難しくなります。
一方で、一部のエリアやマンションに需要が集中するということは、それ以外のエリアでは相対的に需要が下がることを意味します。新たな買い手が現れないエリアは金利上昇による価格下げ圧力を受けることになりますし、価格が上がりづらいエリアは戸建てと競合するケースも多いです。そのようなエリアは横ばいもしくは価格が下落する可能性もあり、値上がるエリアとの価格差が今後大きくなっていく可能性が高いです。これが、「マンション価格は今後も上昇する可能性が高い一方で、二極化が進んでいく」と私が考えている理由です。
文/2LDK(マンションブロガー)
『絶対に失敗しないマンション購入の教科書』ぱる出版
2LDK

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