ヤクルトがまさかの快進撃、絶不調の中日、ホームラン出まくりの日本ハム……開幕からさっそく様々な話題を提供してくれている2026年シーズンを “エモやん”こと江本孟紀氏はどう見たか。今回も斬新な角度で球界を斬ってます。
ヤクルト快進撃も「バントなしで優勝したチームはなし」
――開幕から1ヶ月でもっとも話題を集めているのは圧倒的下馬評の低さながら快進撃を続ける “池山ヤクルト”かと思います。江本さんもシーズン前の順位予想でヤクルトを最下位にしていましたね。
江本孟紀(以下、同) ヤクルトは全解説者に感謝しないと。
――なぜですか?
あれだけ前評判が悪いと選手たちも気負いなくのびのびプレーできるでしょ(笑)。野球をやる上でこんなに楽なことはない。
上を狙ってるチームは監督も采配にすごく気をつかう。阿部(慎之助)なんてそれでドツボにハマってる。ヤクルトや池山にはその呪縛がないからイケイケだね。
――ベンチで大喜びするなど、感情を隠さない姿がファンにも好評のようです。
池山は人間的にもいいヤツで、今はその素の明るさから選手たちもやりやすい環境になってる。でも、負けが込み始めたらショボンとしてチーム全体の元気もなくなっちゃうかもしれないよ(笑)。
――“バントなし野球”はどうでしょうか?
バントをしないで優勝したチームなんてないよ。する癖をつけとかないとこれから先、必要になった時にしっかり決められないし、首脳陣に迷いも生じてくる。
――課題だった投手陣もかなり安定しています。
まだボロが見えてないだけだよ(笑)。3番に強打者でもないキャッチャーだったり8番にピッチャーを置くのもそのうち上手くいかなくなる可能性がある。そうなれば勢いは止まっちゃうよね。1年目の監督ってだいたいそういう奇抜な采配をしたがるから。
ただ、ヤクルトは思わぬ優勝をすることがある。他のチームが調子を出せないうちにね。阪神が食らいついてるけど、巨人と広島はガタガタでしょ。中日はもっとガタガタ。ベイスターズはアナリストとかいって素人をベンチに入れてるから論外。
そうなると、ヤクルトがそのままいっちゃうこともなくはない。交流戦までをどう乗り切るかにかかってるんじゃないかな。
―― 一方で、下馬評の高かった中日が苦戦しています。
解説者たちは上にきそうなチームが他にないから、消去法で中日を上位に予想しただけ。俺は4位予想だったけど、まわりに流されなくてよかった。
今の成績は別に驚くことではなく、実力どおり。先発ピッチャーをすぐ代えるからいかんね。
でも沖縄の北谷キャンプからすごい客入りだった。誰かスター選手がいるわけではないのに、あれはどういうこと?
「日ハム投手陣の不調はWBCのせい」
――パリーグですと、強力な先発陣を擁する日本ハムがチーム防御率リーグ最下位と苦しんでます。江本さんも1位予想でしたが、スタートダッシュに失敗しました。
先発完投型のピッチャーを軸にチームづくりをする新庄(剛志)は12球団の監督で一番まとも。それなのになぜ投手陣が崩れているのかといえば、理由は簡単。WBCです。
――日ハム投手陣からは伊藤大海と北山亘基が選ばれていましたが、伊藤は2試合4イニング、北山は2試合2イニングのみの登板でした。
やっぱり調子を崩すよ。キャンプ、オープン戦という一番大事な時期にチームを離脱してちゃんとした調整ができないんだから。だからWBCは怖い。
――去年一昨年、たくさん完投したことによる疲れではない?
それは関係ないね。俺なんて6年連続200イニング投げたんだから。
――ただ、日ハムは開幕から9試合で22本塁打と打ちまくりました。球界全体でも例年に比べてホームラン、得点が増えていることからファンの間では「飛ぶボールに変わったのでは?」という憶測が流れています。
それは素人の発想だね。すぐボールのせいにする。もし変わってたら選手は2、3球投げればすぐわかるよ。
――では打者のレベルが上がった?
そういうわけじゃないでしょう。
でもさっきの審判の話(#1)じゃないけど、ピッチャーのボールは千差万別なんだから同じ角度でバットを入れる練習したって意味があるはずがない。そんなことやってるから3割バッターが全然いなくなっちゃったんだよ。
審判にバット直撃…「“危険打法”には罰則をもうけるべき」
――4月17日、ヤクルト・オスナ選手の手からすっぽ抜けたバットが球審の頭を直撃。緊急手術を行なうという痛ましい事故が起こりました。この事故について江本さんのお考えは?
あれはね、“危険打法”とかで罰金とか罰則をもうけたほうがいい。ピッチャーは投球がすっぽ抜けて打者の頭に当たれば危険球になる。そういうものが打者にはない。
バットというのは危険極まりない凶器なんだから片手を放すのは禁止にしなきゃいかん。フォロースイングまで両手でバットを握るのがバッティングの基本。
――この件以外にも、折れたバットやファウルボールが球審に直撃して交代となるなど、今季は審判へのアクシデントが相次いでいます。
これを受けてアンパイアもヘルメット着用が義務化されたけど、フルフェイスをかぶったほうがいいね。もっといえば、アウトサイドプロテクターを復活させた方がいい。
――アウトサイドプロテクター?
昭和の時代に使われてた盾みたいなプロテクターだよ。アウトサイドプロテクターならインサイドプロテクターで守れない腕や脚、首、喉もカバーできる。
インサイドプロテクターは、昭和のパリーグの審判で元ボクサーの露崎(元弥)さんがカッコよく三振のコールをしたいってアメリカのスタイルを真似たのが始まり。でも、身を守る上ではアウトサイドプロテクターが一番理に適ってるんだよ。
――たしかに選択の余地があってもいいかもしれません。
それにピッチャーとしても、アウトサイドプロテクターの角をめがけて投げたりピッチングの目安になる。今の審判はキャッチャーやバッターに合わせてチョロチョロ動くから、あれだとピッチャーも投げづらいと思うよ。
――そういうメリットもあるんですね! それでは今回の締めとして、ヤクルト・池山監督、DeNA・相川亮二監督、ロッテ・サブロー監督の新人監督3人のここまでのデキについて採点をお願いします。
池山はノリノリで相川とサブローは存在感がないけど、始まったばかりだからまだなんとも。最低でも30~40試合を見ないとわからないから、次回にはなんらかの評価をするよ。
――来月もよろしくお願いします!
取材・文/武松佑季
写真/村上庄吾

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