《旭川・女子高生殺害》「暴力団員は…私のことをよく分かってくれる人」検察に矛盾を追及された“リコ”は黙りこんだ後…「殺意があったと言われるのは当然だと思います」
《旭川・女子高生殺害》「暴力団員は…私のことをよく分かってくれる人」検察に矛盾を追及された“リコ”は黙りこんだ後…「殺意があったと言われるのは当然だと思います」

2024年4月、北海道旭川市の神居大橋の欄干から当時17歳の女子高生Aさんを落として水死させたなどとして殺人、不同意わいせつ致死、監禁の3つの罪に問われた内田梨瑚被告(23)の裁判員裁判が6月3日、旭川地裁であった。

この日は検察側の被告人質問が行われ、殺意の認否に関する矛盾を何度も突かれた内田被告は「殺意があったと言われるのは当然だと思います」と述べるなど、揺れ動く心情を吐露した。

また、コンビニの店員に助けを求めたAさんを店外に引きずり出したときの気持ちを「ナイフがあったら刺していたと思うぐらい腹が立っていた」とも証言し、傍聴席の空気を凍りつかせた。

検察側の被告人質問で矛盾を徹底的に追及されて…

「この裁判では全ての罪の共犯として懲役23年の刑が確定し服役中の小西優花受刑囚(21)が『梨瑚さんがAさんの背中を両手で押した』と証言しています。

さらに監禁の共犯として逮捕された少年X(事件当時16歳の無職)と少女Y(同16歳の女子高生)も終始内田被告の主導で犯行が進められた経緯を証言しています。

一方で内田被告は、物証が豊富で責任を免れない不同意わいせつと監禁については早々に認めたものの、Aさんを死に至らしめたことについては一貫して関与を否定。

5月29日の弁護側の被告人質問でも、欄干に座らせたAさんに『死ね』『落ちろ』と罵声を浴びせ続けた理由を『Aさんが死にたいと言い出したから、本気かどうか確かめただけ』という強弁を繰り返しました。

しかし、Aさんを神居古潭地区で突然全裸にさせた動機を弁護士に問われて、『本当に死にたい人なら服を脱ぐことは平気と思った』と証言したことが逆効果だったようです。

ストーリー展開が無理筋と思ったのか、以降を曖昧に流した弁護側と異なり、検察側はこの日の被告人質問で徹底的に突いたことで矛盾が拡大しました。

結果的に内田被告は、殺人や不同意わいせつ致死について『未必の故意』を認めたに等しい証言をしました。少なくとも傍聴席にはそうした空気が流れたことは確かです」(社会部デスク)

♯20でも詳報したが、内田被告はAさんを全裸にした理由を弁護士に問われ、こう答えていた。

「Aさんが死にたいと言っていたので、本当なのかどうか確かめようと思いました。本当に死にたい人なら、なんの説明もなく理由もなく服を脱ぐことは平気だと思っていたので『服脱いで』と言いました。

本当に脱ぐとは思っていなかったので、びっくりしました。死ぬ気がないのに死にますと言うのはやめてほしいと言おうと思いました」

「殺意があったんじゃないかと言われても、言われるのは当然だと思います」

被告人いわく服を脱いだことで「本当に死にたい人」と確かめられたのなら、なぜその後に脱がせた服を着せなかったのか。

神居大橋の当時の気温は5度である。

そもそも脱がせた服は小西受刑囚と自身で手分けして草むらに廃棄しているから、返すつもりも二度と着せるつもりもなかったのではないか。検察側は内田被告にそう質問した。そして、内田被告はこう答えた。

「服を脱ぐのをAさんが断れば、死ぬ気がないと確認できると思っていました。でも、服を脱ぐことが本当に死にたい理由になるという当時の考えが、間違えだったと気づきました。(裸になるのを)断られなかったからです」

間違いに気づいたのなら、脱がせた服も靴も返してやるのが当然だが、それもせずに全裸のまま冷たい欄干に座らせたのはなぜか。

検察側はここで冷静にこう質問した。以下、しばらくやり取りを列記する。検察側が「」、内田被告が<>だ。

「欄干に座らせた目的を聞きます。Aさんを本当に危険な目に遭わせて『死にたい』と言うのをやめさせようとしていたのに、『死ねや』と繰り返したのですか」

<はい>

「客観的に逆のことをしていることになりますよね」

<なります>

「Aさんを欄干に座らせることが、本当に危険なことになると思ったのはなぜですか」

<バランスを取ってないと落ちてしまうからです>

「あえてその状況にしたのですか」

<はい>

「落ちたらどうなるかもわからなかったのですか」

<はい>

「落ちたら死ぬかもしれない状況なのに、Aさんに(対する)殺意があると思いませんか」

<(しばらく沈黙の後)今は思います>

呆れて「今は、あるんですか」と質した検察側に、内田被告はこう答えた。

<(沈黙)当時は殺意をもって欄干の上に座らせていたわけではないですが、今はそんなに危険なことを…危険なことをしていたので…殺意があったんじゃないかと言われても、言われるのは当然だと思います>

「蹴られたり踏んづけられたりして痛いはずなのに…痛い様子がなかった」

さらに検察側はこの日の公判でも、Aさんを監禁して連れ回している最中、内田被告が指定暴力団山口組系の旭導会の構成員を呼び出して合流した理由について質した。

Aさんに対して自分を暴力団と深い関係にある人物と印象づけるためではないかと問われた内田被告は、「私がその人に会って落ち着きたかったからです。私のことをよく分かってくれた人だからです」と答えた。

検察側は調書で内田被告がこの暴力団員の「舎弟」だったと認定している。要するに内田被告は捜査当局に「女ヤクザ」のお墨付きを与えられていた人物なのだ。

そんな内田被告に対し、裁判所からは橋の上で蹴るなど暴行を加えていた際のAさんの様子に関する質問があった。「弱っていた」という回答をした後、そう感じた根拠を尋ねられた内田被告はこう答えた。

「蹴られたり、踏んづけられたりして痛いはずなのに、あんまり痛い様子がなかったからです」

気温5度の暗い橋の上で、全裸にさせられたうえ、凶暴な“女ヤクザ”とその舎弟に暴行され弱らない少女がどこにいるのか。

法廷での審理は続く。しかし、この日の証言は裁判員らの心証に大きな影響を与えた。小西受刑囚を含め、この事件の裁判を当初から傍聴し続けてきた筆者は率直にそう感じた。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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