朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)1月19日(火)放送。第16週「道を照らす人」第92話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一
家族から銀行に「あさが来た」92話
イラスト/小西りえこ

92話はこんな話


いよいよ加野屋を銀行にする話が本格化しはじめた。
これまでずっと両替商にこだわってきた雁助(山内圭哉)も、ついに潮時と感じて銀行に賛成したものの、心の中では・・・。


会社って冷たいものなんだ


久々に「カッパ」登場。
銀行はカンパニー/会社(カッパ)。
会社になると、これまでのように勤め人がひとつ屋根の下で、家族のように暮らしていくスタイルではなくなり、皆、それぞれの家から通ってくることになるのだと、よの(風吹ジュン)に説明するあさ(波瑠)。
そういうことが、寂しいとか冷たいとか感じる、よのや雁助の気持ちもなんだかわかる。
こういうことからも、日本の核家族化がどんどん進んでいって今に至っているのだなあ、きっと。なんてぼんやり思ったりして。

あさは、銀行に関する説明をよのにする際、折り鶴を使う。合理的な会社と、千代紙がキレイな折り鶴が、あまりに意外な取り合わせだが、こういう表現が、女性のやわらかさにも通じるのだろう。

うめを誘う雁助


雁助、両替一筋、そろばん一筋でやってきて年だけ食ってしまったと自覚しているにもかかわらず、今さら加野屋を出て、どうするつもりなのだろう。うめ(友近)に「わてと一緒にこの家出えへんか」と誘うからには、なんらかの算段があるのか。それとも、何もないからこそ、一緒に来てくれる人がほしくなったのか。
このふたりのことを「古参の如才ない奉公人同士」という新次郎(玉木宏)。

なんて端的な表現。ただ、「(ふたりは)うまが合うのだろう」なんて、ほんとにその程度と思っているのか、新次郎。それとも、わかっているが、鈍いあさには曖昧にしておこうと思ったのか。
あさやよののように能天気な人物以外の人たちの気持ちは、ベールに包まれたまま、週半ばへ──
(木俣冬)

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