108話はこんな話
仕事も子育ても一段落。新次郎(玉木宏)はあさ(波瑠)に、たまには旅行にでも行かないかと誘う。
おみかんつくってるはつにおみかんって・・・
108回はちょっとまったり回。これからの布石がいくつか打たれたという印象。
気になる人物は、まず、加野屋の先代と関係あったらしいが、今や落ちぶれている萬谷与左衛門(ラサール石井)。
彼が銀行に来て、昔のよしみに免じてお金を借してほしいと持ちかけるが、あさは毅然と断る。
すると、おなごとなんか話ができないと萬谷はひどく憤慨して帰ってしまった。
あからさまに男尊女卑な上、お金を返すあてもなさそうな荒んだ感じを、ラサール石井が短時間で鮮やかに印象づけた。
次は、千代(小芝風花)。いよいよ、ひとり、京都の女学校へ旅だって行く。
花霞寮の同室の子は無愛想なめがねっ子・田村宜。この子が気になる。演じているのは、吉岡里帆。
京都出身のあさは、娘が京都に行くことによって、故郷と繋がることが嬉しくはないのだろうか。いまや両親も弟も東京だし、嫁いだ以上は実家に戻れないと言われていたから、あまり興味がないのか。
新次郎がはじめての夫婦の旅行に誘ったときも、京都に行きたいとは微塵も思わなかったようす。まあ、和歌山に行くのが、物語の展開上は妥当ではあろう。
はつ(宮崎あおい/崎の大は立)たちへのお土産に「おみかん」って、あさなりの冗談なのだろうか。
結婚してから20年以上経っているにもかかわらず、一度も旅行に行ったことがないあさと新次郎。あさがあれだけ働いていたら、旅行に限らず、余暇を楽しむ時間はさすがにないのも当然だ。
子供のときは相撲やちゃんばらごっこ(新選組ごっこ)好きだったあさが、大人になってからはとくに趣味もなさそうで、そう思うと、ささやかにテケツ(切符)を集めていることがいじらしい。
(木俣冬)