それは、ちょっと不思議な、でも、すごく楽しそうな光景でした。

先日、さいたまスーパーアリーナで開催された「Animelo Summer Live 2012 -INFINITY∞-」の2日目。

ステージ斜め後ろの見切れ席まで埋め尽くした、約2万7300人の観客が、一斉に手を前後に振りながら、声を合わせ、繰り返し叫んでいるんです。

“うー! にゃー! うー! にゃー!”
と。
まさに、こんな感じ。
(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー! (」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!

世代も、性別も、好きな作品や声優やアーティストも超越し、会場中が一体となって、一つのフレーズを恍惚感とともに歌い、叫ぶ。
初めての「アニサマ」で、初めて見たその光景。
アニソンの魅力と楽しみ方を、再確認した気がしました。


2005年の初開催以来、着実にスケールを拡大し、今や夏のアニソンの祭典としてお馴染みの「Animelo Summer Live」。通称「アニサマ」
第8回目の今年は、8月25日(土)、26(日)の2日間で、合計40組78名のアニソンアーティストが出演し、トータルの開演時間は約10時間半。総演奏曲数は86曲と、まさに世界最大級のアニソンイベントでした。
アニソン好きなら、リンク先のセットリスト(1日目2日目)を見てもらえれば、どれだけ豪華で濃密なライブだったのかは、一目瞭然でしょう。
出演アーティストの全員が、自分の持っている最強クラスの曲をぶつけてる。

つなぎ技が一切無くて、全ての攻撃が必殺技状態なんですよ。

しかも、初日のオープニングを飾った田村ゆかり&May'nや、人気声優ユニット同士が合体したミルキーホームズ&七森中☆ごらく部といった、この日限りのコラボユニット(?)も数多く結成。
このコラボ企画は、「アニサマ」の定番らしいです。
石川智晶&茅原実里「アンインストール」なんて、想像するだけでも凄そうでしょ?
実際、聴いてると心が不安定になってくるあの名曲、破壊力が倍増してました。

そして、個人的には「うーにゃー」(正確には、後ろから這いより隊G「太陽曰く燃えよカオス」)以上のクライマックスだったのが、シークレットゲストの森口博子織田哲朗上杉昇(WANDSの元ボーカル)のライブ。
森口博子のデビュー曲で、「機動戦士Zガンダム」の主題歌だった「水の星へ愛を込めて」

織田哲朗が、“他のレコード会社と契約することになったので”、契約した会社には内緒にしてTETSU名義で歌ったという「装甲騎兵ボトムズ」の主題歌「炎のさだめ」
WANDSの代表曲で「SLAM DUNK」の主題歌「世界が終わるまでは…」
どれも、生で聴ける機会があるなんて思ってもみなかった、思い出の名曲ばかり。
あえて資料のセットリストを見ないままライブに臨んでいたので、“え、このイントロ、 まさか森口博子? 2曲目は「ガンダムF91」かー!”とか、“「炎のさだめ」キター!”とか、(心の中でだけど)周りのアニソンファンと同じように驚くことができました。
学生の頃に見ていた作品のアニソンなのに、どの曲も一緒に歌えるくらい、歌詞を覚えてる(実際には歌えなかったけど)。
そして、アニソンと一緒に、その当時の記憶まで蘇ってくるんですよ。

2日目に登場した人気声優の鈴村健一がMCで話していたことは、まさに、その通りだと思います。

「僕も小学校の頃に聴いてたアニメソングを、今でもそらで歌えたりします。常に自分の記憶や思いに寄り添ってくれる。それがアニメソングなんじゃないかな」

この2日間、生で聴いた曲の中にも、僕の新たな思い出のアニソンになりそうな曲は、たくさんあって。

いとうかなこ×志倉千代丸-科学アドベンチャーユニット-「スカイクラッドの観測者」
LiSA「oath sign」
May'n「ダイヤモンドクレパス」

小松未可子「Black Holy」
茅原実里「Paradise Lost」
etc、etc……。

これらの曲を聴く度に、それぞれのアニソンが流れたアニメの事と一緒に、初めての「アニサマ」取材や、こうして原稿を書いてる事も思い出すんだろうな。

何年か先の「アニサマ」で、懐かしの神曲として、また「うーにゃー」が演奏されることにも期待していよう。
本当は、僕も見てるだけじゃなく、
(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー! (」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!
って、やりたかったんですよね……。

(丸本大輔)