土曜ドラマ『リラの花咲くけものみち2』(NHK総合ほか)が現在放送中だ。岸本聡里(山田杏奈)がヒロインの本作は、2025年2月に放送された『リラの花咲くけものみち』の続編。
2025年版では命や獣医師の役割について深く考えさせられたが、2026年版でも初回から簡単には答えの出せない問いが視聴者に投げかけられた。

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聡里は12歳で引きこもり、祖母・牛久チドリ(風吹ジュン)が迎えに来るまでは、父・孝之(竹財輝之助)と継母・友梨(小林涼子)の家で、愛犬・パールとともに引きこもっていた。

聡里が学校に行かなくなった最大の理由は、パールと友梨だった。友梨は犬アレルギーを理由にパールを毛嫌いしており、聡里は自分の留守中にパールが捨てられることを懸念していた。

聡里はチドリ以外の人には心を開けず、北農大学に入学した当初も先輩や同学年の仲間に話しかけられても声を出すことすらできなかった。そんな聡里だが、梶田綾華(當真あみ)、久保残雪(萩原利久)、静原夏菜(石橋静河)らとの出会いにより、人との交流から生まれる喜びを知ることとなった。

筆者にも、人の嫌な部分ばかり目につき、人間不信に陥った時期がある。一方、動物は嘘をつかず、自分の利益のために残虐なこともしない。愛情を注げばストレートに返してくれる。そのため、人ではなく動物や植物を守り、助ける仕事の方が自分に向いていると考えたこともあった。

また、SNSでは、人に対する苦手意識ゆえに、動物と関わる仕事を志す10代の存在が話題になったこともある。他人事ではないと思い、投稿を見ていたのだが、「畜産業の日々の仕事は動物相手だが、経営者と一緒に仕事をするから、人と関わりたくない人は厳しいと思う」「犬猫も牛豚も治療するにはその飼い主である人に了承が必要」「動物の死に何度も直面するからメンタルがタフでないと厳しい」といった、厳しい意見が多かった。
こうした言葉を目にして、自分の考えの甘さを突きつけられた。

そんな中、心に留まったのが、動物は大好きだが人付き合いが苦手な聡里を心配するチドリが、夏菜に相談した場面(2025年版、第1話)だ。夏菜は「動物が大好きならヒトも大好きってことですし。ヒトも動物ですよね?」と述べていた。

筆者自身、犬や猫をはじめとする動物を人と切り離して捉えていた。そのように線を引く行為そのものが、他の生きものに対する傲慢さであったようにも思い、深く反省している。また、人の技術や知識で動物を助けるからには、人の存在をないがしろにできないことに気付かされた。

聡里は長らく自分でも気づいていなかったが、動物だけでなく、人に対しても愛情深い女性であった。心を動かされるのは動物にとどまらず、牧場の経営者やその娘、犬の飼い主にも及び、彼らへの共感力も強い。2025年版の第3話で、聡里は動物の命だけでなく、その背後にある人の命を守れるという理由で、大動物の獣医師になることを決めた。

衝撃を受けたのは、動物病院の院長・久恒(山崎静代)が聡里が助けた犬を「供血犬」として引き取ると話した場面(2025年版、第2話)だ。供血犬の役割を理解しつつも、厳しい環境におかれることを思うと胸が痛くなった。


聡里は「役割なんて関係なく、何もしなくても一生大事にされる子もいれば、いらなくなったからゴミのように捨てられる子もいる。そして、供血犬となって働く子もいる」と思いを巡らせ、気を落としていた。

久恒はナナカマド動物病院を慈善事業で経営しているわけではない。この犬を引き取る以上、食費をはじめとする生活費を負担する必要がある。人の中にも誰かの保護下で暮らしていける者と、生きるために歯を食いしばって働く者がいるが、犬においてもそれは同じなのだろう。

『リラの花咲くけものみち2』の第1話にも、悲しみのあまり涙が止まらなくなった場面があった。野崎修一(竹原ピストル)の愛犬キナコに腫瘍が見つかった。手術にはリスクがあり、キナコの年齢を考えると懸念点も多いという。修一はキナコを静かに逝かせてあげたいという思いから、安楽死を決断した。

キナコは修一から自分の今後について説明されると尻尾を振って応え、飼い主の選択に納得しているかのようにも見える。しかし、その尻尾を振る仕草の本当の意味は定かではないし、キナコが悲しい表情を浮かべているようにも見えた。

聡里が「想像することしかできない。
それが正しい答えかどうかは、きっと誰にもわからない」と思いを言葉にしていたように、私たちにできるのは想像を巡らせることだけなのだ。

人間にも、何としてでも命をつないでほしいと願う人と、苦しまずに逝きたい人がいるように、犬もそれぞれ、自分の最期についての思いがあるのだろうか…。

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