フランスメディアのRFIは、中国では大学の課程の大規模な変更が続いていると紹介する記事を掲載した。キーワードの一つは人工知能(AI)という。

中国の大学が学部および大学院の教育体系を全面調整している大きな目標は、2026年から30年までを対象年とする第15次五カ年計画の最重要戦略、すなわちAIの発展に貢献することだ。政府は実体経済の各分野でAI技術を広く応用することを望んでいる。

中国政府教育部によると、中国全国の大学は21年から25年にかけて、時代遅れと見なされた1万2200の学部専攻を廃止または一時停止し、同時に1万200の専攻を新設した。言い換えれば、中国の大学の3分の1近くの専攻がすでに調整された。この傾向は今も続いている。

取り消された専攻は主に芸術系、人文社会科学、外国語および管理系専攻に関わるものだ。各大学は同時に、ロボット、エンボディドAI(機械的作動を伴うAI)、半導体、農業用ドローンなどの新興専攻を次々と新設している。

中国人民大学で金融を専攻して学部を卒業した張彼得さんは、インターネット金融企業への就職を希望していたが、企業の人員削減およびAIが基礎的な業務を人に代わって行うようになったことで、デジタル経済の修士課程に進むことを決めた。張さんは金融、AI、法律、コンピューターなどの学際的な知識を学ぶことで自らの競争力をさらに高めることを望んでいる。中国では他の大学でも、同様の専攻課程を次々に設立し、スマート金融の発展に貢献するレベルの高い複合型人材を育成する動きが進行している。

中国伝媒大学(中国メディア大学)は、写真、漫画、ニューメディアアート、視覚伝達デザイン、服装デザインの5つの芸術系専攻を同時に廃止した。同大学はさらに6つの経済管理系専攻、2つの理工系専攻および3つの人文科学系専攻を廃止した。

翻訳専攻も廃止された。

同大学の責任者は、AI翻訳の急速な発展に伴い、単一の言語のために4年制の翻訳専攻を設けることはすでに時代の要求に適応しなくなっており、教育資源は国家が緊急に必要とする新興分野により多く投入されるべきだとの考えを示した。

中国の大学で専攻課程の大きな変更続く、語学系は「理工」と融合―仏メディア
中国伝媒大学

しかし、外国語教育が価値を失ったわけではない。北京語言大学でフランス語教師を務めるジャン・ストエセル氏は、「基礎的な翻訳市場は基本的にAIにすでに取って代わられましたが、高い水準の翻訳や専門用語の研究は依然として代替不可能です」と指摘した。いずれにせよ、外国語専攻は「理工系と融合する」必要があるという。同大学のフランス語専攻はすでに北京化工大学との協力を開始しており、外国語と工学で二つの学位を取得できる育成モデルを推進し、学生に言語能力を身につけさせると同時に、一定の科学的素養も備えさせている。

AI関連を課程に導入する動きは他の専攻でも見られる。中国人民大学で発達心理学の博士課程の学生である倪(21)さんは、AI利用による青少年の心の健康に関する公共データの分析を研究している。倪さんはAIやデータ分析で用いられる主要なプログラム言語のパイソンを学んだだけでなく、「機械の助手」として自律性を備えた「AIによるインテリジェントエージェントツール」も使いこなせるようになった。すなわち、彼女はデジタル技術を利用することで科学研究能力を高めた。

倪さんの専攻の方向性は、現在の就職市場としっかりとかみ合っている。7月15日に施行される中国政府の新たな規則ではAIを利用した児童向けの会話型製品に、未成年者のAIに対する感情的な依存を防ぐための監督管理が要求されている。

倪さんの現在の専攻と中国政府の新規則が完全に重なるわけではないが、発達心理学とAIの両方に専門的な知識と経験がある倪さんは、新規則への対応を迫られた企業にとって、極めて有用な人材であるはずだ。

倪さんには一方で、懸念事項もあった。AIについてかなり高度な技術を身に着けたが、AIの発展があまりにも速いので、身に着けた技術が急速に時代遅れになる可能性があることだ。倪さんは職業の安定性を考慮して、公務員試験の受験を決めた。

全体的に見ると、中国の大学の今回の専攻の調整は、国家の産業政策、科学技術イノベーション戦略、そして水準の高い教育に就職市場が与える大きな影響を示すものだ。各大学は、卒業生がAI時代の新たな職場に適応できることを望んでいる。(翻訳・編集/如月隼人)

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