台湾メディアの中時新聞網は7日、「北海道が次の台湾に?」と題し、日本の半導体産業復興はラピダスに大きく託された「賭け」であるとする英誌エコノミストの分析を紹介した。

記事は、「北海道は雪景色で知られているが、いまや日本政府はこの地を次の半導体産業の拠点に育成しようとしている。

政府の支援を受ける半導体スタートアップのRapidus(ラピダス)が北海道千歳市で2ナノメートル半導体工場を建設しており、『北海道シリコンバレー』は新時代の産業政策の象徴となっている」と述べた。

一方で、英誌エコノミストの報道として、「この構想が実現するかどうか、その成否のほぼ全てがラピダスが2ナノ製品を量産して収益化できるかどうかに懸かっている」と言及。ベンチャーキャピタルCoral Capital(コーラル・キャピタル)のJames Riney(ジェームズ・ライニー)最高経営責任者(CEO)の「北海道は次の台湾になる」という発言を引用し、日本の金融業界が楽観的な見方を示していることを伝えた。

同誌によると、ラピダスは当初、進出先として九州を選ぶこともできた。九州にはすでにTSMCが工場を建設しており、比較的整ったサプライヤーネットワークが形成されていた。しかし、ラピダスは最終的に北海道を選択した。理由としては、水資源が豊富であること、広大な土地を確保できること、人口密度が低いことに加え、再生可能エネルギーの大きな潜在力が挙げられている。北海道では2040年までに日本全体の風力発電量の約3分の1を担う見通しで、道内唯一の原発である泊発電所についても2027年以降の再稼働が見込まれている。

また、北海道は台湾海峡で有事が発生した場合に影響が少ないこと、冷涼な気候は大量の電力を消費するデータセンターの設置にも適していること、ソフトバンクが苫小牧市で総額650億円を投じたデータセンターの建設を進めておりAI(人工知能)インフラ整備への期待が高まっていることなども背景にあるほか、北海道としても半導体産業クラスターが形成されれば大きな経済効果を得られる可能性があると指摘されている。

一方、英誌エコノミストは北海道が半導体産業拠点として短期間に発展する可能性は低いとの見方を示し、その理由として人材不足を挙げた。ラピダスは現在、経験豊富な日本人エンジニアに依存しているとした上で、道内の大学での半導体人材の育成はまだ始まったばかりで未知数であるほか、日本の賃金水準は世界の主要なハイテク拠点と比べて競争力に欠けるため、海外の高度人材を呼び込む上で不利になる可能性があると指摘した。また、北海道で大規模な製造拠点やサプライチェーンを整備するにはまだ時間がかかるとの見方も示した。

さらに、「最大の不確定要素」としてラピダスの戦略を挙げ、「TSMCが標準化された半導体を大規模に量産する戦略をとるのに対し、ラピダスは短納期と小ロットのカスタムAI半導体の製造に重点を置いている。世界で最先端半導体を製造できる企業はごく限られており、AI向け半導体の需要も拡大を続けていることから、この戦略には一定の可能性がある。ただ、同社は来年の量産開始を計画しており、その時こそ、真価が問われることになる」としている。

記事は、日本政府がすでにラピダスに2兆円を超える規模の支援を行っており、半導体産業復興を掲げる日本の国家プロジェクトが事実上ラピダス1社に託されていると指摘した上で、「北海道シリコンバレーが日本のハイテク産業をけん引する新たな原動力となれるかどうか。最終的な鍵を握るのは、ラピダスが最先端技術を持続的な商業的成功へと結び付けられるかどうかにある」と結んだ。(翻訳・編集/北田)

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