男子サッカーの北中米ワールドカップ(W杯)は熱戦が続いている。参加国が48カ国に拡大されたことでアジアからは過去最多の9カ国が出場したが、1次リーグを突破したのは日本とオーストラリア(地理的にはオセアニアだが、アジアサッカー連盟=AFC=に加盟)だけ。

その両国も決勝トーナメント1回戦で姿を消し、大陸別の対抗戦であれば惨敗というほかない結果に終わった。ただ、日本について言えば、今年上半期に行われたAFCの各種大会の結果と合わせ、アジアナンバーワンの座を再確認したと言えるだろう。

気の毒だったイラン

今年1月の当欄で、アジア勢の1次リーグの成績について、筆者は「日本の決勝トーナメント進出確率は70%。ただ、トーナメント1回戦でブラジルと当たる可能性が強く、ここが上位進出への正念場になる」「韓国、オーストラリア、イランは比較的戦いやすいグループに入った。特にイランは初の決勝トーナメント進出のチャンス」「サウジアラビア、カタールと初出場のウズベキスタン、ヨルダンは厳しい」と予想した(イラクはこの時点で出場が決まっていなかった)。結果としては、韓国、イラン以外はだいたい的中した格好だ。と言っても、大方の予想も同じだったので、自慢するほどのことではないのだが。

気の毒だったのがイランだ。2月末に米国と戦闘状態に入ったため、試合会場はロサンゼルスとシアトルだったのに、米政府が国内でのキャンプを認めないなど不利な戦いを余儀なくされた。結果としてあと一歩のところで決勝トーナメント進出を逃したが、もしそうした悪条件がなければ違った結果となっていただろう。

残念だったのが、アジアの新興勢力として期待されたウズベキスタン。ポルトガルに0-5で敗れるなど3連敗、勝ち点ゼロに終わった。1次リーグ突破は簡単ではないと見ていたが、近年の戦いぶりから、もう少しできると思っていた。

日本も初出場の1998年大会は3連敗で終わっており、やはり初のW杯の壁は高かったか。

   

日本、アジアの主要大会すべて決勝進出

他のアジア勢が苦戦する中、日本は強豪オランダに引き分けるなど無敗で1次リーグを突破。決勝トーナメント1回戦でサッカー王国ブラジルと当たるというくじ運の悪さもあって32強で敗退したが、世界ランキングでは引き続きアジア首位をキープしている。試合内容を含めて、アジア勢では最も存在感を発揮したと言えるだろう。

あまり注目されていないが、実は今年上半期のAFC主催の各種大会で、日本は以下のように他国を圧倒する成績を残している。

【男子】

 U23アジアカップ 優勝(U21日本代表)

 U17アジアカップ 優勝(U17日本代表)

 アジアチャンピオンズリーグエリート 準優勝(町田ゼルビア)

 アジアチャンピオンズリーグ2 優勝(ガンバ大阪)

【女子】

 女子アジアカップ 優勝(なでしこジャパン)

 U20女子アジアカップ 優勝(U20女子代表)

 U17女子アジアカップ 準優勝(U17女子代表)

 女子チャンピオンズリーグ 準優勝(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)

このように、今年上半期のアジアの主要大会で、日本は男女ともすべて決勝に進出し、うち五つで優勝している。U23アジアカップでは、他国に比べ若いチームを派遣したのに頂点に立った。そして最も重要な北中米W杯では、フル代表が決勝トーナメントに進出した。日本サッカーの総合的な競技力が、アジアナンバーワンであると証明された形だ。

1980年代までの、アジアでも勝てない時代を知る者にとっては感慨深い。長年にわたる組織的・統一的な強化プログラムの成果であり、関係者の努力に敬意を表したい。もちろんW杯で日本を破ったブラジルが、決勝トーナメント2回戦でノルウェーに屈して姿を消したことでも分かるように、世界の頂点はなお遠い。W杯優勝という目標を達成するためにはさらなる前進が必要なのは言うまでもない。

上半期のアジアの大会で気になることがある。2002年を最後に、W杯出場を逃し続けるなど低迷していた中国の男子が、U23とU17のアジアカップでともに決勝に進出したことだ。決勝では両大会とも日本に敗れたものの、男子の主要大会では久しぶりの好成績を収めた。これが一過性の現象なのか、若年層のレベルアップがフル代表の底上げにつながるのか。注目したい。

サウジ、カタール優遇の不公平

それにしても、北中米W杯の国際サッカー連盟(FIFA)の運営には、首をかしげたくなることばかりだ。退場処分を食らった米国選手の出場停止処分を撤回した問題は世界中から批判を浴びたし、前述のイランに対する米国の意地悪な対応を認めたことにも失望した。チケット代金の高騰には、「サッカーを金持ちだけのスポーツにするのか」といった声が噴出した。ただ、それらについてはあちこちで指摘されているので、ここではAFCの運営について触れたい。

アジアのサッカーを統括するAFCはこのところ、潤沢なオイルマネーを惜しみなくサッカーにつぎ込む中東諸国、なかんずくサウジアラビアとカタールへの優遇が目立つ。アジアチャンピオンズリーグエリートの決勝大会(準々決勝以降)をサウジで集中開催するようになったのはその代表例だ。最悪だったのは、北中米W杯のアジア4次予選(3次予選までに出場権を獲得できなかったサウジ、カタールなど6カ国が、2グループに分かれて争った)を、この両国で開催したことだ。

地元の利と有利なスケジュールに助けられて、サウジとカタールは本大会出場を決めたが、本来ならホーム&アウェーか中立国開催とすべきで、著しく不平等、不公平なやり方だった。
サッカーW杯、「アジアNo.1は日本」を再確認=AFCの不公平な運営に断固抗議を!
日本代表

競技力で他を圧する地位にある日本は、AFCに対する発言力も強いはずであり、日本サッカー協会はこうした不公平な運営には強く反対する姿勢を示してほしい。昨年、日本がAFCを離脱して新たな地域組織を設立することを検討していると海外メディアで報じられた。日本協会は否定したようだが、不公平な運営が変わらないようであれば、離脱も辞さないという強い姿勢でAFCと対峙(たいじ)してもらいたい。

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