中国メディアの観察者網は11日、日本と中国による半導体をめぐる攻防に関する記事を掲載した。
記事は、「半導体製造において、リソグラフィー装置やフォトマスクは注目を集めやすい分野だが、その土台となる重要部材がマスクブランクスだ」と指摘。
そして、「マスクブランクスは、手のひらほどの大きさの高純度石英ガラスで、ナノメートル単位の平坦さや極めて高い管理能力が求められる。その表面に遮光膜や反射防止膜などを形成し、電子ビームなどで回路パターンを書き込むことで、半導体製造に使用されるフォトマスクへと加工される」と説明した。
その上で、「半導体の微細化が進むほど、フォトマスク製造のコストと重要性は高まる。14~16ナノメートル世代ではフォトマスク一式のコストは約500万ドル(約8億1000万円)、7ナノメートルでは約1500万ドル(約24億3000万円)に上昇。さらに5ナノメートルや3ナノメートル世代では1000万~4000万ドル(約16億2000万~32億4000万円)規模に達し、半導体開発における大きな負担となっている。EUV向けマスクブランクスでは、1枚あたり10万ドル(約1620万円)を超えるケースもある」と伝えた。
記事は、2020年以前、中国国内のフォトマスクメーカーは数社に限られ、28ナノメートル以下の先端品では日本や米国の企業への依存が続いていたとする一方、その後の5年間で状況は大きく変化したと言及。「中国国内のフォトマスクメーカーは15社以上に増加し、数十億元規模の投資が相次いでいる。90ナノメートルや65ナノメートル向け製品の量産化が進み、一部企業では28ナノメートル世代を視野に入れた開発も進められている。関係者によると、成熟プロセス向けフォトマスクでは、中国企業は日本や米国の大手メーカーと競争できる水準に近づいている」とした。
一方で、フォトマスク製造の前段階にあるマスクブランクスの国産化は大きく遅れていると指摘。「中国国内のマスクブランクス需要は月約12万枚とされるが、国内企業の供給能力は月数千枚程度にとどまり、国産化率は2%程度。現在、i線やKrF向けマスクブランクスでは日本のHOYAや信越化学工業が大きなシェアを握り、ArF向けでは両社への依存度がさらに高い。EUV向けマスクブランクスは輸出規制の対象となっており、中国では利用できない」と伝えた。
記事は、中国の半導体産業にとって、この問題はサプライチェーン上の構造的な課題だと言及。「フォトマスクメーカーは、海外から調達したマスクブランクスに回路パターンを書き込む加工企業であるが、マスクブランクスメーカーは、高純度石英ガラスの製造、精密研磨、薄膜形成、欠陥検査など、長年蓄積された材料技術が必要となる。日本企業の強みはこの垂直統合型の産業構造にあり、数十年かけてサプライチェーン全体を構築してきた」と解説した。
そして、特に重要なのが「欠陥管理技術」だとし、「マスクブランクスでは、ナノメートル単位の微小な欠陥でも、半導体製造時に何度も転写され、大量の不良につながる。そのため、単純に製造できるかどうかではなく、安定して高品質な製品を供給できるかが競争力を左右する」と指摘。「中国企業も追い上げを進めており、一部企業では基板開発や超精密加工で成果を上げ、日本メーカーのサプライチェーンに参入する動きも出ている。ただ、先端プロセス向けの高性能マスクブランクスでは、依然として日本企業との差は大きい」と論じた。
記事は、今後中国がこの分野で突破を図るための三つの方向性として、「研究機関やスタートアップへの長期的な研究開発投資」「半導体メーカー(Fab)との共同開発」「検査技術を軸にした突破」を挙げた。
そして、「中国の半導体産業は過去5年間でフォトマスクという課題を克服してきた。次の5年間でマスクブランクスという課題を克服できるかどうかが、この産業競争の最終的な行方を左右することになる」と強調した。(翻訳・編集/北田)











