米国、カナダ、メキシコの北米3カ国で開催されているサッカーのワールドカップで、熱戦が繰り広げられている。中国でサッカーは最も人気のあるスポーツの一つであり、大舞台に立つ自国チームの雄姿を目にすることはかなわなかったが、それでも多くの人が試合に熱中している。

そんな中で、選手の「パワー食」にも関心が集まり、まねをする人も出ている。中国メディアの新華報業網はこのほど、サッカー選手の極端な食生活を安直に模倣すべきでないと指摘する論説を発表した。

食生活が特に注目された選手としては、試合での大活躍で中国でも多くのファンを獲得したノルウェーのハーランド選手がいる。ハーランド選手は毎日6000カロリーを摂取し、牛の心臓や牛のレバーに生乳を組み合わせて摂取すると紹介された。この食事はネットユーザーから「魔人の燃料」と呼ばれ、まねをする人が現れた。

中国の食事ガイドラインによると、一般の成人男性の1日の推奨摂取カロリーは1950から2150キロカロリーだ。6000キロカロリーは一般人の必要量の3倍に近い。この超高カロリーの摂取に見合うのは、アスリートであるハーランド選手の屈強な体格や、プロ選手の激しい運動量による膨大なカロリー消費だ。しかし、一般人の多くは日常的に座り仕事が多く、軽度の活動しかしていないため、高カロリーの食事を無理に再現すれば、余分なエネルギーは急速に脂肪に変わって蓄積され、肥満や高脂血症、脂肪肝を誘発する。過剰なタンパク質や高脂肪の食べ物は身体の負担をさらに大きくして、健康リスクを高める。

ハーランド選手が牛の心臓や牛のレバーを食べるのは、主にコエンザイムQ10、鉄分、ビタミンB群を補給し、激しい運動で傷ついた筋肉を修復するためだ。しかし牛のレバーはビタミンAの含有量が極めて高く、一般人が長期的に大量に食べれば過剰なビタミンAは肝臓に蓄積し、さらには肝臓や骨の健康を損ねる。

中国では、「生肉や生の内臓を食べるサッカー選手もいる」との情報も広まった。ハーランド選手が生肉を食べているかどうかは不明だが、内臓の生食には高温殺菌の工程がなく、寄生虫や病原菌が潜んでいることが極めて多く、一般人の胃腸の耐性は長期的にこの食事に適応しているアスリートよりはるかに低いため、腹痛や下痢、嘔吐などの急性胃腸感染症を引き起こしやすい。
サッカーW杯教訓、スター選手の食事を安直に取り入れるべからず―中国メディア
ハーランド

スター選手のメニューは単なる食事リストではなく、完全で専門的な競技用栄養体系だ。ハーランド選手の3食や間食、食材の配合はすべて、専属の栄養士やフィジカルチームによってリアルタイムでモニタリングと調整が行われ、食材は厳格な検疫を受けている。トレーニング、リハビリ、生活リズム、食事はすべてに相関関係があり、どれか一つが欠けてもならない。もし一般人が高強度のトレーニング、専門的なモニタリング、食材の品質管理といった前提条件を度外視し、単純に食べ物の種類と摂取量だけを模倣すれば、自らの身体の代謝システムを損ねるだけだ。

中国では多くのネットユーザーが、ハーランド選手以外の一部のスター選手の脂肪燃焼食や筋肉増強メニューを、流行を追って見境なく試した。水煮の鶏むね肉しか食べずに栄養失調に陥った人がいれば、極端な低糖質ダイエットをまねて内分泌異常を引き起こした人もいる。個人の身体の状況は同じではなく、一般人の日常の食事は、長期的にバランス良く、穏やかに身体を養うことが重要であり、運動選手の食事の評価基準や設計の論理とは本質的な違いがある。

スター選手のメニューについては、やみくもにまねするのではなく、理性的に分析することこそが、正しい生活態度だ。我々はハーランド選手の食事の中の、良質なタンパク質を重視し、定期的に鉄分を含む食材を補い、十分な量の良質な脂肪を確保するというやり方ならば参考にできるが、メニューをそのまま再現すべきではない。一般人はバランスの取れた食事の原則に従い、自らの活動量に応じて食事の全体を調整すべきだ。

流行に乗って模倣する浮ついた心理を捨て、自らの身体の要求を読み解き、科学的で適度かつバランスの取れた食習慣を確立することこそが、健康を守る最も確実で長続きする方法だ。(翻訳・編集/如月隼人)

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