◆第108回全国高校野球選手権埼玉大会▽5回戦 川口市立3―1正智深谷(20日・UD上尾)

 迷いはなかった。1点を先制された直後の7回2死満塁。

「自分で決める気持ちでした」。川口市立の5番・松原勇太郎(3年)はフルカウントから甘いコースに入ってきたスライダーを見逃さなかった。強烈なライナーが左中間へ。「捕るな、捕るな」と念じながら一塁へ。打球は野手の間を抜けて3人の走者がホームを駆け抜けた。逆転の3点三塁打に「仲間を信じていたので強い気持ちで行けました」と声を張った。

 会場のUD上尾のすぐ隣にある上尾市立東中出身。自宅から川口市内の学校までは1時間超をかけて通学する。大谷豊監督は「一生懸命、真面目に取り組む選手なので、プレッシャーの中で自分の打撃ができていました」とほめた。正智深谷の先発・柳星斗(3年)は中学時代、埼北ポニーのチームメート。6回まで3打数1安打に抑えられ「球種はわかっていたんですけど、いい投手でした」とライバルをたたえた。

 試合をつくったのが先発した内田唯人(2年)だ。

18日の飯能戦で1失点完投勝利。中1日、30度超の酷暑の下での登板となったが、速球、変化球をテンポよくゾーンに投げ込んでいった。7回に味方の失策から1点を先制されたが125球を投げて被安打4、5四死球で2試合連続完投勝利。18日もこの日も失点は失策絡みで自責点はゼロ。実質的には2試合連続完封といっていい。「3年生と一日でも長く野球ができるという気持ちが一番うれしかったです」と殊勲打の松原とがっちり握手をかわした。

 2018年に市川口、県陽、川口総合が統合してから夏は初の準々決勝進出。市川口時代には18年の南埼玉大会で8強入りしたが、埼玉大会となると4強入りした13年以来13年ぶりの8強入りだ。中1日で迎える22日の準々決勝へ「低い打球を意識してうしろにつなぐ打撃ができたら」と松原が言えば、2試合連続完投の内田も「先輩たちと、投手陣が協力して、一日でも長い夏を過ごせたらと思います」と日焼けした顔を引き締めた。野球殿堂入りした元巨人の斎藤雅樹、ヤクルトの並木秀尊らOBも出られなかった甲子園まで、あと3勝だ。

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