FIFAのインファンティーノ会長 photo/Getty Images
W杯売却構想に新展開
FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長が進めるワールドカップの「売却構想」を巡り、新たな波紋が広がっている。
英『THE TIMES』が入手した書簡の内容によると、FIFAは211の加盟協会に対し、構想への賛同を条件として最大4000万ドル(約60億円)の資金提供を提示。
今回の構想では、「FIFA Forward Enterprise」と呼ばれる新会社を設立し、男子ワールドカップ、女子ワールドカップ、クラブワールドカップなど主要大会の運営を移管。FIFAが過半数の株式を保有する一方で、20~30%を民間投資家へ売却することが想定されている。
流出した書簡では、加盟協会がこの計画を承認した場合、2027年から始まる新たな資金援助プログラムを通じ、各協会は最大4000万ドル(総額100億ドル)を受け取ることが可能になるとしている。一方、計画が承認されなかった場合は、従来提示されていた総額27億ドル規模の支援プログラムが維持される見通しで、加盟協会には巨額の追加資金が賛成へのインセンティブとして提示された形だ。
売却計画をめぐっては、欧州を中心に反発が広がっている。UEFAは声明で「サッカーの魂と統治は売り物ではない。FIFAが売却できる資産では決してない」と強く批判。イングランドサッカー協会(FA)も「提案の詳細を事前に知らされておらず、透明性とガバナンスの欠如を深く懸念している」と異例の声明を発表した。
北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)も、「報道で初めて計画を知った」とし、「適切な手続きが踏まれず、公表が先行したことに深い懸念を抱いている」とコメント。サッカー界全体に説明責任を果たすようFIFAへ求めている。
さらに英メディアによれば、欧州では構想が承認された場合、ワールドカップのボイコットを検討する国があるとも報じられている。
今回の構想では、加盟211協会にもそれぞれ約1500万ポンド相当の持ち分が割り当てられ、保有を続けるか売却するかを選択できる案も含まれているという。また、インファンティーノ会長自身も2031年にFIFA会長を退任した後、新会社の「コミッショナー」に就任する可能性が報じられており、利益相反を懸念する声も上がっている。
インファンティーノ会長は就任以来、ワールドカップの48カ国制への拡大やクラブワールドカップの大規模化など、商業的な改革を次々と進めてきた。その一方で、今回の構想は大会そのものを投資対象へと変える可能性を秘めている。
今後53日間で示される加盟協会の判断は、世界サッカーの未来を左右する歴史的な決断となりそうだ。

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