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イナゴの美味しい!? 季節です

かつてはこんな田園風景に、イナゴがたくさん飛んでいたわけです。

長野出身というだけで、これまで幾度となくされてきた質問。
「虫、食べるんだよね?」

そんな誤解のみで、かつてある週刊誌の仕事で、コオロギやらアリ、漢方用のゴキブリなんかを食べさせられたこともあるのだが、断じて言う。大きな誤解です。

伊那のように、「ざざむし」「蜂の子」の缶詰などが産業として有名なまちはあるが、長野の人がみんな虫を食べているわけではない。
とはいえ、「イナゴ」はちょっと別。
子供の頃は、フツウに食卓にイナゴの佃煮がのる家など珍しくなかった。実際、我が家でも食べるのは父だけとはいえ、毎年家で作っていた。きゃらぶきや、貝の佃煮にも似た甘辛い味付けで、あの「見た目」だけクリアできれば、かなり美味いとよく父にすすめられたものだ。

とはいえ、時折、「あ、足がのどにひっかかった」などと苦い顔をする父を見ると、どうにもその「見た目」がクリアできない。
ただし、私たち「イナゴ食べない派」にとっても、毎年このくらいの時季になると、田んぼにイナゴをとりに行くというのは、一種の「娯楽」だった。
無心でつかまえ、袋に放り込む。それは、少年たちがクワガタ・カブトムシをつかまえるのと何ら変わりないのだ。
イナゴとりの道具も、いろいろ改良した結果、ヤクルト容器の底をくりぬき、くびれ部分に布袋をゴムでとりつけるというものに落ち着いた。ポイポイ虫を放り込みやすいうえ、脱出の可能性もないという画期的なものである。

こうして大量捕獲したイナゴは、家で調理する。グツグツに湯だった鍋に一気に投入すると、ぱちぱちと音をたてて硬直し、草っぽい独特のニオイが台所に満ちてくる。熱い湯に入ったイナゴの緑色の体は、一瞬にして真っ赤に茹で上がり、地獄絵図のような光景に、なぜだかいつも見とれてしまうのだった。

ところが、この時期になるとあちこちの田んぼで見られる「イナゴとり」の光景が、最近はあまり見られなくなった。食べる人が減ってるからかと思ったが、母に聞いてみると、ここ数年、「イナゴがいない」というのである。
農薬の影響なのか。あるいは、環境の変化か。
「昔は、主婦が大量につかまえたイナゴを、近所のスーパーに売りに行ってお小遣いにすることもあったのにねえ」
と、寂しそうに言う。

かつては当たり前だった秋の娯楽「イナゴとり」も、貴重な保存食の「イナゴ」も、貴重な存在となってきているようだ。
(田幸和歌子)
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2006年10月15日 00時00分

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