◇(1)藤田 省三『戦後精神の経験 2』(みすず書房)
不況を嘆き景気対策をのみ求めるのは、その原因であるバブル経済――地上げ、住民追い出し、乱開発を忘れ免罪するものである。それを許す心性を育てた高度成長。
『戦後精神の経験 2 1976~1995』(影書房)著者:藤田 省三Amazon |honto |その他の書店
◇(2)エドワード・ファウラー著、川島 めぐみ訳『山谷ブルース』(洋泉社)
高度成長の土木工事を支えた日雇い労働者が生きる「山谷」。ドヤに住み一緒に働いたアメリカ人が、克明な描写と聞き取りで、多様性と「自由」がある町、職場としての山谷を浮かび上がらす。男社会山谷を評した訳者後書きもいい。
◇(3)結城 登美雄『山に暮らす 海に生きる』(無明舎出版)
「あんちゃん、気楽でいいな」といわれながら五十すぎの男が東北をうろついた記録。昆布からコケムシを洗い、木に登り漆をかく。それでナンボになるか。労働の手続きと経済がきちんととらえられ出色。
【書き手】
森 まゆみ
作家・編集者。1954年東京都文京区生まれ。早稲田大学政経学部卒業。
【初出メディア】
朝日新聞 1998年12月20日