『夢の歌から』(インスクリプト)著者:津島 佑子Amazon |honto |その他の書店

◆ずっと読み続けたい言葉
このエッセイ集の凄さは次の一言に集約されている。

“悲しみを呑みこんでがれきのなかを歩きまわり、運良く自分に必要なものが見つからないかと丹念に執念深く探すひとたちのように、こつこつと私は自分の小説を書きつづける。
(中略)そこから、なにが見つかるのだろう。それを、私は「希望」と呼んでもいいのだろうか。”

東日本大震災と福島第一原発事故の後、津島さんはずっと自分が小説を書くことは何か、それはどういうことなのか、と疑問を呈し続け、それこそ「こつこつと」書き続けた。その歩みの中で記された言葉に、胸を衝かれる思いだ。

二月(ALLREVIEWS事務局注:本書評執筆年は2016年)に急逝した作家の遺した言葉を何度も読む。ずっと読み続けたい一冊。

【書き手】
陣野 俊史
1961年長崎生まれ。文芸評論家、フランス文学者。ロック、ラップなどの音楽・文化論、現代日本文学をめぐる批評活動を行う。最新作に『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)。その他の著書に『フランス暴動 - 移民法とラップ・フランセ』『じゃがたら』(共に河出書房新社)、『フットボール・エクスプロージョン』(白水社)、『フットボール都市論』(青土社)など。

【初出メディア】
日本経済新聞 2016年5月12日

【書誌情報】
夢の歌から著者:津島 佑子
出版社:インスクリプト
装丁:単行本(352ページ)
発売日:2016-04-22
ISBN-10:4900997625
ISBN-13:978-4900997622
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