地中海の地図を広げると、左下の沿岸地域が北アフリカ。前二世紀半ばまで、この地の現チュニジアを中核にして覇権をふるったのが海洋大国カルタゴである。
ローマ市民権保持者も元老院議員も増加し、五賢帝後の二世紀末には、とうとう北アフリカ出身の皇帝セプティミウス・セウェルスすら登場する。彼は威厳にあふれた顔立ちだったが、口にするラテン語からはアフリカ訛(なま)りが抜けなかったという。
さらに、古代末期には最大の教父アウグスティヌスも北アフリカ生まれであり、この地で生きていた。
地名から僻地(へきち)と思われがちだが、属州アフリカはローマ帝国を支える国力を備えていたことを思い起こさせる好著。
【書き手】
本村 凌二
東京大学名誉教授。博士(文学)。1947年、熊本県生まれ。1973年一橋大学社会学部卒業、1980年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。
【初出メディア】
毎日新聞 2025年10月18日
【書誌情報】
ローマ帝国とアフリカ-カルタゴ滅亡からイスラーム台頭までの800年史著者:大清水 裕
出版社:中央公論新社
装丁:新書(256ページ)
発売日:2025-08-21
ISBN-10:4121028716
ISBN-13:978-4121028716