『我々の恋愛』(講談社)著者:いとう せいこうAmazon |honto |その他の書店

◆回りくどく不器用な男女
いとうせいこう、渾身の長篇は、世界中の「恋愛学者」が山梨に集まって開いた「二十世紀の恋愛を振り返る十五ヵ国会議」が舞台。名だたる学者たちが選んだ「二十世紀最高の恋愛」は……まあなんとも、地味な、日本の片隅に住んでいる男女の不器用な恋愛だった。


東京の大型遊園地「あらはばきランド」に勤める華島徹と、群馬県桐生市でパン製造の会社に勤めつつ新しい酵母の開発にいそしむ遠野美和――二人が出会うきっかけは、美和が徹に間違い電話をかけたことだった。

ジリジリするほど回りくどい彼らの恋愛はしかし、そのたとたどしさ、コミュニケーションの不全ぶりにおいて、日本語でこれまで書かれた小説とは異質な読後感を残す。

【書き手】
陣野 俊史
1961年長崎生まれ。文芸評論家、フランス文学者。ロック、ラップなどの音楽・文化論、現代日本文学をめぐる批評活動を行う。最新作に『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)。その他の著書に『フランス暴動 - 移民法とラップ・フランセ』『じゃがたら』(共に河出書房新社)、『フットボール・エクスプロージョン』(白水社)、『フットボール都市論』(青土社)など。

【初出メディア】
日本経済新聞 2016年4月14日

【書誌情報】
我々の恋愛著者:いとう せいこう
出版社:講談社
装丁:文庫(608ページ)
発売日:2019-11-14
ISBN-10:4065176514
ISBN-13:978-4065176511
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