『夜を聴く者』(河出書房新社)著者:坂上 秋成Amazon |honto |その他の書店

◆新たなキャラクター小説開拓
2篇を収める。

表題作には、主として3人の登場人物しか出てこない。
ミハイは鍼灸(しんきゅう)師。彼の中学からの友人トウヤは、ソーシャルゲームを開発する会社に勤めている。トウヤには綾鳥こずえという恋人がいる。ミハイとトウヤは高校をドロップアウトした後、なんとなく相手を必要としながら生きてきた。そこへこずえが介入してきた――という構図。

同性愛と異性愛がぶつかり合う瞬間がある。友情と恋愛の衝突がある。そう単純化して言ってしまえば、小説の味わいとは違う感じもあるが、トウヤをめぐってミハイとこずえがぶつけ合う言葉に、この作家の小説の真骨頂を見た。

キャラクター小説の新たな地平。

【書き手】
陣野 俊史
1961年長崎生まれ。文芸評論家、フランス文学者。ロック、ラップなどの音楽・文化論、現代日本文学をめぐる批評活動を行う。
最新作に『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)。その他の著書に『フランス暴動 - 移民法とラップ・フランセ』『じゃがたら』(共に河出書房新社)、『フットボール・エクスプロージョン』(白水社)、『フットボール都市論』(青土社)など。

【初出メディア】
日本経済新聞 2016年3月24日

【書誌情報】
夜を聴く者著者:坂上 秋成
出版社:河出書房新社
装丁:単行本(194ページ)
発売日:2016-03-17
ISBN-10:4309024513
ISBN-13:978-4309024516
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