『石原家の兄弟』(新潮社)著者:石原 伸晃,石原 良純,石原 宏高,石原 延啓Amazon |honto |その他の書店
石原裕次郎主演『嵐を呼ぶ男』を満員の映画館で観た。そのころ、慎太郎はその兄にすぎなかった。
だが、兄は健筆家であるばかりか、国会議員にもなり、東京都知事としても活躍した。4人の息子に恵まれ、今や精悍(せいかん)な中年男たち、その雑感集だ。

長男伸晃は、小学卒業文集の「将来の夢」に「政治家」と書いた。三〇一万票を得て参議院議員になった父親が頼もしかったらしい。それに太平洋横断のヨットレースにも参加している。次男良純は、大学の卒業アルバムの就職欄に「西部警察」と記されている。だが、多忙な父親の本性が作家であることを見抜いているのはさすがだ。三男宏高は、銀行マンとして重なる通貨危機を経験しながら、「人のために働く」政治家になった。自分の信念を重んじた父親が敬愛すべき男だったのだろう。四男延啓は、父親の野望のごとく画家になったが、それはあくまで人との関わりであり、同化して作品を創作するのが自分の性分だったからだ。

ともあれ、仲良し四人兄弟の背景には父親のわがままを生涯優しくつつんでいた母典子がいたことが痛感される。

【書き手】
本村 凌二
東京大学名誉教授。
博士(文学)。1947年、熊本県生まれ。1973年一橋大学社会学部卒業、1980年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学教養学部教授、同大学院総合文化研究科教授を経て、2014年4月~2018年3月まで早稲田大学国際教養学部特任教授。専門は古代ローマ史。『薄闇のローマ世界』でサントリー学芸賞、『馬の世界史』でJRA賞馬事文化賞、一連の業績にて地中海学会賞を受賞。著作に『多神教と一神教』『愛欲のローマ史』『はじめて読む人のローマ史1200年』『ローマ帝国 人物列伝』『競馬の世界史』『教養としての「世界史」の読み方』『英語で読む高校世界史』『裕次郎』『教養としての「ローマ史」の読み方』など多数。

【初出メディア】
毎日新聞 2025年12月6日

【書誌情報】
石原家の兄弟著者:石原 伸晃,石原 良純,石原 宏高,石原 延啓
出版社:新潮社
装丁:単行本(ソフトカバー)(292ページ)
発売日:2025-10-16
ISBN-10:4103875038
ISBN-13:978-4103875031
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