『異類婚姻譚』(講談社)著者:本谷 有希子Amazon |honto |その他の書店

◆小説にしか描けないたくらみ
4篇を収める。表題作の「異類婚姻譚」が第154回芥川賞を受賞した。


結婚してもうすぐ4年が経(た)つ夫婦。「私」は専業主婦。夫はテレビ好きを宣言し、家で3時間は見続けている。かと思えば、iPadでコインを貯(た)めるだけのゲームに熱中する。ふと見ると、夫の顔が溶けだして、夫に似た何かに変容している。

夫婦のことを書いた小説。だが、似た者夫婦という古臭い言い回しを粉々にするような衝撃をラストに秘めている。愉(たの)しみを奪うので結末がどうなるのか書かないけれど、どうか、最後まで読んでみてほしい。

山に猫を捨てに行く話がこれほど効果的伏線だったとは! 小説にしか描けないたくらみに満ちている。

【書き手】
陣野 俊史
1961年長崎生まれ。文芸評論家、フランス文学者。ロック、ラップなどの音楽・文化論、現代日本文学をめぐる批評活動を行う。
最新作に『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)。その他の著書に『フランス暴動 - 移民法とラップ・フランセ』『じゃがたら』(共に河出書房新社)、『フットボール・エクスプロージョン』(白水社)、『フットボール都市論』(青土社)など。

【初出メディア】
日本経済新聞 2016年2月4日

【書誌情報】
異類婚姻譚著者:本谷 有希子
出版社:講談社
装丁:ペーパーバック(192ページ)
発売日:2018-10-16
ISBN-10:406513224X
ISBN-13:978-4065132241
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