『台湾生まれ 日本語育ち』(白水社)著者:温 又柔Amazon |honto |その他の書店

◆自分は誰なのか、真摯な思索
表紙の写真を見てほしい。著者の温又柔さんの自己認識を正確に映し出したような、やどかり。
温さんは紛れもない「日本語作家」である。3歳のときから、もう何十年も日本に住んでいる。でもどこかやどかりのようにして、日本語に住んでいる、という。「国籍は、台湾」。そこにきざすズレを、温さんは見逃さず、自分の問題として引き受け、あるときは傷つき、あるときはユーモアを交えながら、出来事をできるかぎり書きつける。

運転免許の書き換えに行ったときに突きつけられた、ズシリと重い「法的事実」も、温さんはちょっとユーモラスに、でもやり場のない感情を抱えたまま、考える。自分はいったい誰なのか、と。真摯な思索の成果である。

【書き手】
陣野 俊史
1961年長崎生まれ。文芸評論家、フランス文学者。ロック、ラップなどの音楽・文化論、現代日本文学をめぐる批評活動を行う。最新作に『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)。
その他の著書に『フランス暴動 - 移民法とラップ・フランセ』『じゃがたら』(共に河出書房新社)、『フットボール・エクスプロージョン』(白水社)、『フットボール都市論』(青土社)など。

【初出メディア】
日本経済新聞 2016年1月14日

【書誌情報】
台湾生まれ 日本語育ち著者:温 又柔
出版社:白水社
装丁:新書(308ページ)
発売日:2018-09-14
ISBN-10:4560721335
ISBN-13:978-4560721339
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