◆2025年「この3冊」
◇<1>『吉本隆明全集』(晶文社)
◇<2>黒川 創、瀧口 夕美 編『加藤典洋とは何者だったか?』(編集グループSURE)
◇<3>太子堂 正称『ハイエク入門』(筑摩書房)

<1>は、吉本隆明氏の全集。二○一四年から刊行を続けてこのほどめでたく完結した。
全集の出にくい出版事情のなか、版元の書店や関係者の奮闘に頭が下がる。敗戦後の一時代を代表する在野の偉大な知性が、公衆の議論に開かれることになったことを同時代の誇りとしたい。

<2>は、先年惜しくも亡くなった文芸評論家・加藤典洋氏の全著作を読み合わせる研討会。世代の異なる五名が集まった。戦後日本の精神の病巣をあぶり出す加藤氏の厳しい指摘は、五○冊余の著作として残っている。大切な贈り物である。

<3>は、欧州、アメリカを股にかけて活躍した経済学者・思想家ハイエクの思索のあとを辿(たど)る。経済学の中心がアメリカに移って、いかに経済思想が貧相になったことか。ケインズと並ぶハイエクの洞察の数々はいまの時代なお光を放つ。

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『吉本隆明全集38: 書簡II・III』(晶文社)著者:吉本隆明Amazon |honto |その他の書店

◆黒川 創、瀧口 夕美 編『加藤典洋とは何者だったか?』(編集グループSURE)
橋爪 大三郎「2025年 この3冊」
【編集グループSURE】:https://henshuugroup-sure.stores.jp/

橋爪 大三郎「2025年 この3冊」
ハイエク入門
『ハイエク入門』(筑摩書房)著者:太子堂 正称Amazon |honto |その他の書店

【書き手】
橋爪 大三郎
社会学者。1948年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。
執筆活動を経て、1989年より東工大に勤務。現在、東京工業大学名誉教授。著書に『仏教の言説戦略』(勁草書房)、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)、『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『社会の不思議』(朝日出版社)など多数。近著に『裁判員の教科書』(ミネルヴァ書房)、『はじめての言語ゲーム』(講談社)がある。

【初出メディア】
毎日新聞 2025年12月20日
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