◇<1>パーシヴァル・エヴェレット、木原善彦訳『ジェイムズ』(河出書房新社)
◇<2>北村 紗衣『学校では教えてくれないシェイクスピア』(朝日出版社)
◇<3>いしい しんじ『チェロ湖』(新潮社)
<1>は『ハックルベリー・フィンの冒険』を逃亡した黒人奴隷ジム(ジェイムズ)の視点で語り直した長編。面白く、愉快で、ページをどんどんめくるうちにアメリカの近現代史がくるりと逆転する。
<2>は男子高校生を相手にした講義録。作品解説だけでなく、演出に挑戦したり、映画を見て批評を書いてみたり。読むこと・考えること・批評することの根源にまでいざなう。シェイクスピアを再読したくなる。
<3>は、いしいしんじ版『百年の孤独』だ。弦楽器の形をした大きな湖とそのほとりを舞台に、一族100年間のエピソードを連ねていく。手回し蓄音機の針で古い「ものがたり」を釣り上げるという仕掛けも楽しい。琵琶湖の歴史をもっと知りたくなった。
『ジェイムズ』(河出書房新社)著者:パーシヴァル・エヴェレットAmazon |honto |その他の書店
【書き手】
永江 朗
フリーライター。1958(昭和33)年、北海道生れ。法政大学文学部哲学科卒業。
【初出メディア】
毎日新聞 2025年12月20日