著者はヤクザの研究が専門で「暴力団博士」の異名をもつ。≪貧しい家庭に育ち…小学校にはほとんど登校≫せず、盛り場をうろつく≪不良になっ≫た。
平成4年の「暴力団対策法」、反社を定めた「平成19年政府指針」、平成22年からの「暴力団排除条例」、と締めつけが強まる。ヤクザは収入源を断たれ居場所も奪われ、組員も減って絶滅寸前だ。代わりに「半グレ」「トクリュウ」など新手の犯罪集団が一般市民を食い物にする。悪人が去って極悪人がやって来た。
著者は、組織を離れた「元暴」や更生中の少年らを取材し、現行制度の欠陥を指摘する。ヤクザは組を離れても5年間は銀行口座もクレカも作れず賃貸契約も結べず、就職も困難。どう社会復帰しろと言うのか。やむなく組織に戻ったり半グレになったり、再犯に至る例もままある。
人間の生きる権利が、刑法ならぬ地方自治体の条例で奪われる。憲法違反でないのか。
【書き手】
橋爪 大三郎
社会学者。1948年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。執筆活動を経て、1989年より東工大に勤務。現在、東京工業大学名誉教授。著書に『仏教の言説戦略』(勁草書房)、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)、『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『社会の不思議』(朝日出版社)など多数。近著に『裁判員の教科書』(ミネルヴァ書房)、『はじめての言語ゲーム』(講談社)がある。
【初出メディア】
毎日新聞
【書誌情報】
ヤクザが消えた裏社会著者:廣末 登
出版社:筑摩書房
装丁:新書(224ページ)
発売日:2026-02-09
ISBN-10:4480077286
ISBN-13:978-4480077288