
車両のあちこちに隠れたラパン(フランス語でウサギ)たちがキュートな、スズキの「アルト ラパンLC」。初めてのクルマを検討している人に好適といえる実力車で、オーナーの8割が女性なのだとか。
そんなラパンLCの良いポイント5つと、ちょっと気になったところをご紹介します。
【ラパンLCの魅力 その1】
高騰化が進む軽自動車の中でも低価格

アルトラパンLCは、2022年6月にアルト ラパンの派生モデルとして登場。どこか懐かしさを覚えるスタイリングと、ブラウン基調のレザー調&ファブリックシート表皮、そして専用色の本革巻きステアリングホイールなど、上質なパーツで人気を集めています。
駆動方式は4WDとFF(フロントエンジン・フロンドドライブ、前輪駆動)の2車種で、グレード展開は2つ。価格は140万9100円~164万6700円と比較的お求めやすいのも魅力的。最近の軽自動車は普通に200万円を超えてきますからね。
【ラパンLCの気になるところ その1】
クルーズコントロール機能がない

低価格な反面、あった方がいいのに……という部分がないわけではありません。そのひとつが高速道路での巡行に便利な「クルーズコントロール機能」です。昨今では車線監視機能やハンドル支援、そして前走車追従機能を標準搭載する車種がほとんどですが、アルトラパンLCはそれらはおろか、普通のクルーズコントロールすらないのです。
とはいえ、東京から大阪のような長距離移動ならともかく、近県のアウトレットモールで買い物をするといった程度の高速道路利用なら、なくても問題はない気もします。おそらくスズキの商品企画部は「このクルマのオーナーは、街乗りがメインで高速道路利用は時々であろう。なら取り外してコスト削減しよう」と考えたのでしょう。あまり使わない機能を取り付けて価格アップをするなら、安いほうがいいと思う人も多いのかもしれません。
【ラパンLCの魅力 その②】
駐車場を選ばないボディーサイズ
軽自動車で人気を集めているのは、後席にスライドドアを搭載したスーパーハイトワゴンと呼ばれるタイプ。ですがこれらのクルマの大半は、1.55mの高さ制限がある立体駐車場に停めることはできません。「そんな駐車場、まだあるの?」と言われると、都心部を中心に多いのが実情です。




ラパンLCは、ボディーサイズが全長3395×全幅1475×全高1525mmと、駐車場を選ばないサイズ。ただし、バーアンテナが引っかかるおそれがありますので、その点だけは注意が必要です。
また、最小回転半径が4.4mと小回りが利くのも見逃せないポイント。狭い都内でもスイスイ走れます。さらにパワーステアリングのセッティングも軽めなうえに、バックモニターも搭載しているで車庫入れはラクラクです。






車庫入れついでに、荷室について。バックドアは思ったよりは後ろに張り出さないので、ショッピングモールの駐車場で苦労することはなさそうです。荷室は軽自動車なりといったところですが、後席を倒せば大容量空間が確保できます。ちなみに段差はないものの、シートはやや傾斜するのでフルフラットにはなりませんでした。
【ラパンLCの魅力 その3】
燃費が良く、走りに不満のないエンジン

ラパンLCが搭載するエンジンは、660cc 直3 DOHC 12バルブの自然吸気型。最高出力は52PS、最大トルクは6.1kgf・mと、数字だけを見ると他社軽自動車より非力なのですが、走らせてみると高速道路の合流でエンジンがうなる以外、全然問題ナシ。
また、本機には高効率のオルタネーター(発電機)により生み出した電気を、カーナビやエアコンに使う「エネチャージ」機能を搭載しているのですが、そのオルタネーターの負荷が少ないようで、結果的にエンジンへの負担を軽減している様子。ですので、エアコン(クーラー)を全開にしても、走りは軽いままでした。

さらに驚くのは燃費の良さで、公称値でWLTCモード燃費はFFだと26.2km/L、4WDでも24.6km/Lというから驚き。実際に試乗しても街乗りで21.5km/Lを記録しました。ガソリンはレギュラーで、タンク容量は27Lです。この経済性の高さも魅力ですね。

ワインディングロードを楽しみたい、という方には、スポーツモードも用意されています。車体の軽さと相まって、脱兎の如くの走りが楽しめます。
【アルトラパンLCの魅力 その4】
居心地のよいインテリア




明るめの内装にチェック柄のシートは、ほかの軽自動車ではあまり見かけないデザイン。また、上級グレードを選ぶと、車内の空気を清浄化する「ナノイーX」も搭載されています。

ウッド調のダッシュボードが用意されているのも本モデルの特徴。助手席側には引き出しがあり、ティッシュボックスとドリンクホルダーが収められます。



運転席を見ると、メーターは速度計のみ。どこかFIAT「500」に似ているなぁと思ったりも。何より運転席周りにボタンが少なく、説明書がなくても動かせるのは魅力的。最近のクルマはボタンが多くて、すべてを使いこなすまで時間がかかりますからね。



試乗車には7インチのディスプレイオーディオが取り付けられていました。Apple CarPlayとAndroid AUTOに対応していますが、ワイヤレス接続はできない様子。

USB端子はType-AとType-Cを用意。Type-Aはカーナビなどとの通信に使い、Type-Cは充電のみ。シートヒーターが用意されているのもうれしいポイントです。
【ラパンLCの気になるところ その2】
スマホトレイがない

カーナビ代わりにスマホと車両を接続するまでは良いのですが、「スマホを置くに適した場所がない」のはちょっと不便。一応トレイらしきものはあるのですが、スマホがはみ出して走行中に床に落ちることも……。

結局、助手席側の引き出しの中に入れることで解決したのですが、ケーブルがブラブラするなど、あまり見栄えはよくありませんでした。ここは少し改善してほしいところです。
【アルトラパンLCの魅力 その5】
静かで柔らかな乗り味
軽自動車というと、エンジンが唸りをあげて乗り心地が悪い、というイメージを抱くかもしれません。ですがラパンLCは、それとは無縁の「優しい世界」。街中を走る限り、ロードノイズも少なく、またエンジン音も適度に車内に聞こえる程度に抑えられています。
また、乗り心地もソフトで、段差を柔らかく乗り越え、その後の収束も早い印象。いわゆるポヨンポヨンの乗り心地ではないところが上手い!
【まとめ】目的を絞ったことで達成した満足度

総じて「普段乗りに好適なクルマ」という印象のラパンLC。コンパクトで乗り心地がよく、何よりカワイイ。なるほど、女性支持率が高いことに納得させられました。これらはクルマを企画する段階で、ターゲットをしっかり絞っているから。ハマれば、これほど魅力的で、満足度の高いクルマはないでしょう!
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