NASEF JAPAN(国際教育eスポーツ連盟ネットワーク 日本支部)は4月24日、活動基本方針と2026年度の活動計画、正会員28企業/団体が参画したプレス発表会を開催した。30年までの目標として、正会員100企業/団体、47都道府県に地方支部を新設、加盟高校1500校、全日本高校eスポーツ選手権の参加5000チームを掲げた。


●IT人材は2030年に最大79万人不足する
 冒頭でNASEF JAPANの柿原正郎理事長が活動基本方針を発表した。NASEF JAPANはeスポーツ/ゲームを通じて、自ら考える力を養ったり、仲間とのチームワークを育んだり、デジタルを活用する力を身に付けたり、多様性を認め合う力をつけるなど「学びの入口をつくる」という理念を掲げる。遊びで終わらせるのではなく、「eスポーツ×教育」の考えがベースにある。
 少子化や不登校、地方からの若者の流出、国際競争力の低下などさまざまな課題に直面しているが、日本の若者の可能性を育て、日本の未来につなげることをNASEF JAPANの使命とする。
 また、未来を支える人材を育成する目的もある。1995年と2023年を比べると、働く世代人口は約1300万人減少している。1983年と2024年を比較すると、出生数は50年で3分の1に減少。都道府県別の転出超過の県は、39道府県に及ぶ。さらに、2030年にIT人材は最大79万人不足するといわれている。
 そうした中、NASEF JAPANは理念や構想だけでなく、デジタル教育講座や課題解決型学習(PBL=Project Based Learning)の啓発活動、国際交流活動、そしてマインクラフトを活用した小中学生向けワークショップの開催など、着実に実績を積み重ねてきた。
●正会員制度をスタート、地方支部制度を発足
 柿原理事長は新たな挑戦として、正会員制度のスタートと地方支部制度の発足を掲げた。「活動を持続可能なものにするために本格的に全国展開をしていきます。
そのためには、我々の理念に共感していただける正会員の皆様方のご支援、サポート、協業を通じて、人材育成の基盤を力強くつくっていきたいと思っています」と語った。
 2月下旬に開催したオンラインの「会員制度説明会」などにより、最初の正会員は28企業/団体となった(4月24日現在)。ITベンダーだけでなく、地方の建設企業やeスポーツ大会の裏方を支える企業、都市部と地方の格差の課題解決に取り組む企業、旅行会社、鉄道会社、新聞社、通信会社、大手EC企業などバラエティーに富む。
●サードウェーブ、NTTe-Sports、ロジクールの社長が挨拶
 正会員を代表して3社の社長が挨拶した。サードウェーブの永井正樹取締役社長執行役員 最高執行責任者は「eスポーツを通じて子供たちに新しい学びの機会を届けること、そして学校や地域にデジタルによる新しい可能性を広げていくこと。この二つに大きな意義があると考えています」と、NASEF JAPANの存在意義を語った。
 都市部だけでなく、地域を含む日本全国をデジタルの力で活性化させる考えは、サードウェーブの理念とも親和性があり、発足当初から活動を支えている。
 NTTe-Sportsの原田元晴代表取締役社長は「われわれはeスポーツの力を活用した人材育成と、eスポーツ市場の発展に寄与していく二つの側面で事業を展開しています。また、全国各地の自治体と伴走しながら、eスポーツを通じて若者の社会性を育み、地域をリードするデジタル人材を育成する事業を展開しています」と、自社の取り組みを紹介。
 強みである光ブロードバンドネットワークのインフラ構築を武器に、サードウェーブと連携しながら、ゲーミングPCなどのデバイスやカリキュラムの提供をサポートしていくとした。
 ロジクールの笠原健司代表取締役社長は「スイスに本社を構えるLogitechと日本のロジクールは『イネーブルヒューマンポテンシャル』というビジョンを掲げています。デバイスやハードウェア、ソフトウェア、サービスを通じて、世界中の人の潜在能力を引き上げていこうという意味です。
NASEF JAPANの理念と親和性があると感じています。正会員の皆様と若者の成長の可能性を広げていくことに貢献していきます」と語った。
●「競技」「教育」「正会員」で分科会を新設
 最後に、NASEF JAPANの大浦豊弘専務理事から、26年の取り組みについて説明があった。NASEF JAPANは、全日本高校eスポーツ選手権の主催としての「競技」、eスポーツを通じた「教育」、海外本部との連携による「国際交流」、eスポーツの教育効果を社会に発信する「調査研究」を4本柱に据える。
 26年は、正会員の拡大と活動を全国に広げるため「競技」「教育」「正会員」で三つの分科会を新設する。競技分科会では、NASEF JAPANらしく現場の先生を運営に巻き込み、教育的な価値を重視した大会運営を行う。
 教育分科会では、教育現場で活用できる教材の開発や、全国に22名いて活動を支えている「フェロー教員」のノウハウや知見を、オンラインセミナーで共有することを考えている。
 正会員分科会では、正会員同士の連携や企画提案、地方支部の設立に向けた議論に力を注ぐ。
 大浦専務理事は、「正会員同士の化学反応を起こしていきたいです。地方支部についても、われわれが決めるのではなく、正会員の皆さんと一緒に作り上げていくようにしていきたいです」と、正会員たちの積極的な参加を促した。
 会場では事務局から勧めることなく、自然発生的に正会員が名刺交換をはじめたという。分科会での闊達な議論や具体的な施策の実施により、eスポーツ/ゲームで子供の可能性が広がることが期待される。
(BCN・細田 立圭志)
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