「やらなければいけないことが多すぎて、何から手をつければいいかわからない」

そんな状態になっていないでしょうか。

例えば、まだ返していないメール、病院の予約、使っていないサブスクの解約、冷蔵庫の中の期限切れの調味料、子どもの進路の話し合い、実家のリフォーム、セカンドキャリアをどうするか…。


役割が増え、責任が増えるほど、タスクや気になることは増えてしまう一方でしょう。このような「気がかり」が脳内を占有し続けることで、集中力や判断力は静かに削られていくと言われています。そして、「いつかやらなきゃ」が増えすぎると、行動するブレーキまでかけてきます。

この状態を「頭の中が汚部屋」と呼んでいます。

なにを隠そう、筆者自身も頭の中が汚部屋のひとりでした。

スーツケースの修理は8年放置し、ずっと気になっていたお金の勉強は15年先延ばししていました。日常の細々したタスクも頭に溢れて、常に「あれもやらなきゃ」「これもやらなきゃ」と疲弊していました。

この「頭の汚部屋」を脱するために考えついたのが、「気がかりゼロ」という整理法です。

気がかりをゼロにする5つのステップ


頭の中にノイズとして溢れる「気がかり」を整理し、頭の余白を取り戻す方法をご紹介します。具体的には、5つのステップで進めていきます。

1、気がかりを書き出す
2、気がかりを仕分ける
3、気がかりを具体化する
4、気がかりを片付ける
5、気がかりを振り返る

ステップ1~3までは、気がかりを整理するワークになります。

その中でも特に大事なのが、「仕分け」です。

様々な気がかりを、

自分でできる/他者も関わる
すぐ終わる/時間がかかる

という2つの軸で仕分けしていきます。


すると、「どれが簡単で、どれが難しいのか」が見えるようになります。

気がかりが頭の中に溢れると、本当はすぐ終わることまで「すごく大変そう」に感じてしまうことがあります。

実際、ワークショップではこんな感想をよくいただきます。

「ものすごく大変なことのように思い込んで、腰が重くなっていました。こんなに簡単なら、もっと早くやればよかったです」

逆に、本当は時間もエネルギーも必要なことを、「すぐできるはず」と思い込み、「なんで私はできないんだろう」と自分を責めてしまうケースも少なくありません。

気がかりを整理するとは、「頭の中の汚部屋」を片付けることでもあります。

仕分けをするだけでも、頭の中は驚くほどスッキリしていきます。

行動力の鍵は大きさと量の調整


次に、ステップ3の「具体化」で大切なのが、「大きさ」と「量」を、自分が動けるサイズに調整することです。

例えば、よくある「気がかり」に、こんなものがあります。

家を断捨離したい
NISAを始めたい

どちらも一言で言っていますが、実際には大きすぎて動けなくなりやすい例です。

「家を断捨離したい」と言っても、キッチンだけでも大変ですし、クローゼットだけでも大仕事です。

「NISAを始めたい」も同じです。

どの口座を使うのか、いくら投資するのか、何を買うのかなど、多くの意思決定が含まれています。


このように、行動が大きいままだと、人は動きにくくなります。

そこで、

靴下を選別する
ゴルフ用品を下取りに出す
キッチンのシンク下の不用品を捨てる

など、「迷わず動けるサイズ」まで小さくしていきます。

さらに、簡単なことでも、数が多すぎると人は戦意喪失してしまいます。

「これならできそう」と思える量まで絞ることも大切です。

こうして具体化した「気がかり」を、1ヶ月ほどの短期集中で一気に片付けていきます。

年に2回の「気がかりの大掃除」を習慣にしてみませんか?


この気がかり整理法は、年に2回の頭の大掃除として続けていくことをおすすめしています。

気がかりが減り、頭の余白が戻ってくる感覚を味わうと、むしろ整理すること自体が楽しみになってきます。

筆者も、このやり方によって、先延ばしにしていた多くのことを実現することができました。長年気になっていた食生活の改善、家を自分好みに改造すること、お金周りの整理や勉強、細かい雑務のシステム化など、「自分には無理だ」と思っていたことが、少しずつ着実に動き始めたのです。

行動力とは、気合いや根性の問題ではなく、「動ける状態を整えられているか」なのかもしれません。

『気がかりゼロ』(山田智恵/ディスカバー・トゥエンティワン)では、この整理法を多数の事例とともに詳しく紹介しています。

「やりたいことがあるのに動けない」
「常に何かに追われている気がする」

そんな人にこそ、読んでいただきたい一冊です。

『気がかりゼロ』(山田智恵/ディスカバー・トゥエンティワン)


『気がかりゼロ』は、未完了のタスクや心の中に残る引っかかりなど、思考と感情に影響を与え続けるものを「気がかり」と定義し、それらを整理・解消するための実践書です。私たちは日々、「やらなければ」と思っていること、忘れられない後悔、将来への不安、気になっているのに動けていないことなど、数えきれない“思考の未完了”を抱えながら生きています。
気がかりは一つひとつは小さくても、積み重なることで頭の余白を奪い、本来向けたいことへのエネルギーを分散させ、行動を止めてしまいます。本書では、日常のタスクの未完了から、心残りや不安といった心理的なものまで、頭の中に散在する様々な「気がかり」を可視化し、整理する方法を体系的に紹介。単なるタスク整理術ではなく、頭と心の余白を取り戻し、自分が本当に大切にしたいことを見つめ直しながら、自然と行動できる状態をつくるための一冊です。

山田智恵(やまだともえ)


内省デザイナー/ミーニング・ノート開発者。「出来事は選べない。けれど、意味づけ方は100%自分次第」――2008年のリーマンショック、2011年の大震災といった、度重なるアンコントローラブルな出来事に直面し、「意味づけ力」こそが人生の可能性を広げる鍵であると確信。独自メソッド『ミーニング・ノート』を開発する。現在はそこから「気がかりの整理」や「人生の物語を主体的に編む」ことへと内省の領域を広げ、自然に行動が変わる「内省の習慣化」を提唱している。ジャーナリング(言語化)、リフレクション(振り返り)、ダイアローグ(対話)を組み合わせたプログラムを、大手メーカーやビジネススクールなど幅広い業界で延べ5,000人以上に提供。個人の主体性回復から組織の対話文化の醸成まで幅広く支援している。著書に『気がかりゼロ』(ディスカバー・トゥエンティワン)『振り返りノート習慣』(かんき出版)『ミーニング・ノート』(金風舎)など。慶應義塾大学法学部卒業、同大学院経営管理研究科(MBA)修了。
株式会社ダイジョーブ 代表取締役
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