横浜高の織田はメジャーも狙う逸材だ(C)産経新聞社

 高校野球、大学野球といった学生野球の「ネット裏の風景」が近年、大きく変化しています。

 高校野球の春季大会、大学野球の春季リーグ戦と盛り上がりを見せたこの春。

学生野球関係者の間では、米国からメジャースカウトが続々と逸材を視察するため、球場の客席に陣取る姿が話題になっていました。

【関連記事】メジャー6球団が横浜・織田翔希に関心 米メディアも叫んだ日本球界の“空洞化”「NPBにとって『壊滅的な損失』を意味する」

 スポーツメディア関係者は言います。

「最速154キロを誇る横浜高校のエース・織田翔希や、青山学院大の最速154キロ右腕・鈴木泰成、強肩強打を誇る正捕手の渡部海などを熱心に視察していました。いずれもドラフト1位クラスの逸材です。それまでもメジャー球団から業務委託を受けた日本人スカウトが視察し、本国に詳細なレポートを送る例はありましたが、わざわざアメリカから複数態勢でチェックしにくるとは、獲得への本気度を感ぜずにはいられません」

 中でも織田は下級生の頃から高校野球シーンを牽引してきた、世代を代表する好投手。進路が「即メジャー」となると、影響は大きいと、あるNPBスカウトは言います。

「桐朋高校の森井翔太郎は2024年のNPBドラフトで1位指名もあり得る逸材でしたが、即メジャーを志し、ドラフト前には国内12球団に『指名お断り』の通達をした上で、アスレチックスとマイナー契約しました。契約金は約2億4000万円とも言われています。森井は進学校で学び、早くから英語学習に力を入れていたこともあって、特別なケースとも言えますが、織田のような世代ナンバーワン投手が即MLBを選べば、いよいよもって日本プロ野球の空洞化は一気に進むかもしれません」

 新人選手の契約金について、NPBでは「契約金1億。出来高払い5000万円。年俸1600万円」と定められています。マネーゲームではMLBにかなわない中、「まず国内プロ」のメリットをどう訴えていくべきでしょうか。

「大谷翔平や山本由伸、岡本和真、村上宗隆らメジャーで活躍する日本人選手は、まず国内でしっかり野球選手としての土台を作った上で、メジャーに挑戦していった。きめ細かい育成は我々の得意とするところでもある。さらには前述の4人もそうですが、『即メジャー』よりも日本のファンと共有した時間が長いため、米球界挑戦後も親近感持って応援してもらえる利点もある。お金だけじゃない価値を生み出していかねばならないでしょう」(前述のNPBスカウト)

 基本的にNPBスカウトの調査は「学校を通して」が原理原則ですが、MLBスカウトは「直接、親」にアタックする例もあるなど、慣習の違いが今後、問題となる可能性もあります。

 前述のスポーツメディア関係者はこんな危惧を口にするのです。

「学生野球は教育の一環として、『チームを第一に』とこれまでやってきた。NPBスカウトも理解を示して、共存共栄でやってきたんです。でもMLBスカウトにとって、一番大切なのは球団の利益。そのためには手段を選ばないことも考えられます」

「黒船」の来襲はドラフトにどんな影響を与えるのか、目が離せません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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