「日本一丸」をキーワードに、森保監督はW杯での優勝を語った(C)Getty Images

ブラジル、イングランドを破った地力

「ワールドカップに向けて優勝を目指して、いい準備をして世界に挑みたいと思います。世界一を取るのは簡単なことではないと、我々自身もサポーターの皆さんもわかっていると思います。しかしながら、日本一丸のエールをより多くの日本人の方から送っていただければ、目標を達成できると信じています」

 5月31日に国立競技場で行われたアイスランド代表との親善試合後の壮行セレモニーで、森保一監督は、そう宣言した。

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 体制発足から約8年。実直に日本代表を率いてきた森保監督が、大衆の面前でハッキリと「優勝」の二文字を宣言した。それだけ今のチームに自信と信頼があるのだろう。

 他でもない指揮官が悔し涙を流した4年前のカタール・ワールドカップ(W杯)から始まった第2次政権。森保監督は離脱による不参加を除いて86人ものメンバーを招集して「凡事徹底」の意識を統一。何があろうと総合力で勝ち切る力を植え付けてきた。

 その成果は、着実にピッチ上での結果に繋がっている。アジア最終予選をわずか1敗で駆け抜けた日本は、直近6試合でも無敗を維持。しかも、ブラジル代表やイングランド代表といった欧米の列強国を相手にしっかりと勝利を積み重ねている。

 チーム編成を見てもイレブンの大半は欧州組。しかも、いわゆる5大リーグのクラブに属する選手が揃う。それに伴って選手たち自身が求めるプレークオリティも高まり、組織の視座も必然的に高まった。

ゆえに指揮官は未到達のベスト8入りではなく「優勝」を宣言したのだろう。

 先述のアイスランド戦のプレー内容だけにフォーカスすれば、とても優勝するチームのそれには見えなかったというのが、正直なところだ。日本が攻勢を強める中で試合が進み、目立ったタックルや競り合いはなし。緊張感もさほどなく「練習試合」という印象でしかなかった。

 ただ、その中で森保監督は11人の交代枠を全て採用して選手のコンディションを確認。長期離脱を余儀なくされていた遠藤航と冨安健洋を実戦でどれだけ計算ができるかを推し量れたのは、プラス要素である。

 さらにスコアレスで迎えた後半には、3-4-2-1から3-1-4-2の攻撃的な“ファイヤーフォーメーション”を採用。本大会で起きうる「点を取らないといけない局面」を見据えたような采配も振るった。1-0というシビアな結果以上に得たものはあったはずである。

批判も目立ったが、選手たちは浮足立たず

 こうした先を見越したクレバーな戦いは、優勝への本気度も感じさせる。一部では「もっと死ぬ気になってほしい」という声も上がり、そのパフォーマンスや取り巻く空気間に批判的な意見も目立ったが、彼らは決して浮足立ってはいない。

 何よりも興味深かったのは、実際に戦う選手が「優勝」をそう遠くないと捉えている点だ。

この試合で2年ぶりの代表復帰を果たした冨安は、「僕個人としては久しぶりに代表に来たので、チームのやり方も変わっている」と前置きした上で、こう言葉を紡いでいる。

「僕がもっとアジャストしないといけない部分は、含めないといけない。ただ、チーム力は間違いなく大会随一のクオリティがあると感じてます。選手たちもトップでやっているので、それを考えれば、(優勝の)チャンスはあると思ってます。当然、僕らはそこを目指してやっているので。あと他の国の選手からも(日本は)舐められてないと感じますけどね」

 これまでボローニャ(セリエA)、アーセナル(プレミアリーグ)、そしてアヤックス(エールディビジ)と欧州の名門を渡り歩いてきた冨安。「世界」を知る彼が優勝の可能性を語ったのは、森保ジャパンの充実度の裏付けとも言えよう。

 無論、W杯制覇は一筋縄ではいかない。しかしながら、予行演習を終えた今、期待したくなる気持ちは以前よりも上がっている。

[取材・文/構成:羽澄凜太郎]

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