北朝鮮で「マイカー時代」が到来しつつある。英ロイター通信は今月、平壌で自家用車の急増による駐車場不足や交通渋滞が発生していると報じた。
ロイターによれば、北朝鮮当局は近年、個人による自動車保有を制度的に容認する方向へ動いている。国家認定ディーラー制度や私有車登録制度が整備され、「黄色ナンバー」で区別された個人所有車が平壌市内で急増しているという。かつては党・軍・治安機関など一部特権層に限られていた自動車保有が、外貨を持つ富裕層へ拡大している形だ。
こうした規制緩和を待つまでもなく、平壌では近年、外国製高級SUVの姿が増えていた。朝鮮中央テレビの映像でも、金正恩総書記の車列として、レクサスのSUV「LX」シリーズや、トヨタ「ランドクルーザー300」、ドイツ製高級車「メルセデス・マイバッハ」などが繰り返し確認されている。
注目されるのは、その流入規模だ。
米ワシントンのシンクタンク C4ADS は2019年の報告書「Lux & Loaded」で、2015~2017年の3年間だけで、北朝鮮へ800台以上の高級車が流入したと分析。そのうち約537台がレクサス系車両だったと整理されている。対象には「LX570」「GX460」「LS430」などが含まれていた。
国連安全保障理事会の北朝鮮制裁では高級車輸出は禁止されている。
さらに国連制裁専門家パネルの報告でも、近年の平壌では最新型の高級SUVが相次ぎ確認されている。2024年の報告では、レクサスやランドクルーザー300、メルセデス・マイバッハGLS600などが金総書記の車列に含まれていたと記録された。
だが、その国連専門家パネルは2024年4月、ロシアの拒否権行使によって事実上、活動停止に追い込まれた。北朝鮮とロシアは国連安保理の制裁決議を完全に無視しながら、ウクライナ戦争を通じて軍事協力を急速に深化させており、「ロシア極東ルート」が主な高級車搬入経路になっていく蓋然性は高い。実際にロシアは2024年、金総書記にロシア製高級車「アウルス」を贈与したことを公表している。制裁対象となる「ぜいたく品」の供与をロシア自身が事実上公然化した形だ。
自ら高級車の魅力を誇示しながら、富裕層の欲望をかき立て、ロシアという密輸ルートの確保で供給を握った金正恩氏は、国内エリートを操縦する新たな術を手にしたと言えるかもしれない。








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