今回はタイトルそのまんま。2009年7月から全集の発刊が始まるなど、再び注目が集まる藤子・F・不二雄(個人的には、敬意を込めて「F先生」と呼びたい)の名作『エスパー魔美』についての検証である。

『エスパー魔美』は、主人公・佐倉魔美(さくらまみ)がふとしたことから自分が超能力者(=エスパー)であることに気付き、その力を使って人助けをする、一話完結型のコミック。過去にアニメ化もされているので、ご存知の方も多いだろう。

魔美の代表的な超能力といえばテレポート(=瞬間移動)。テレポートの際に使われるのが、特製ブローチの中から飛び出す仁丹である。
仁丹が対象物に迫ってくるエネルギーを、テレポートのエネルギーに使用する仕組みで、意図的にテレポートするときには欠かせないアイテムなのだが、てんとう虫コミックス版全9巻を通じて、一体彼女はどれだけの仁丹を消費したのだろうか。

さっそく小学館に問い合わせたところ、この件に関しての公式データは存在しないそう。

う~む。となれば、コネタ魂でいちいち数えるのみだ。
なお、今回の検証にあたり設定したルールは以下のとおり。

● テレポートの有無にかかわらず、仁丹の描写があった場合は、その数をカウントする
● 仁丹が描かれていない場合でも、明らかにブローチを使用してテレポートした場合はカウントする
● 長距離の移動などのシーンでも、描写が省かれた分はカウントしない

それでは、さっそくレッツカウント!

……この短い行間のあいだ、かなりがんばって検証したのだが、この様子をレポートしてもまったく面白くないので、いきなり結果を公表させていただく。
なお巻数はすべて、てんとう虫コミック版に準ずる。

【エスパー魔美の仁丹消費量】
資料:てんとう虫コミックス『エスパー魔美』1~9巻/ライター調べ

1巻 28粒
(「くたばれ評論家の巻」で、仁丹を仕込んだブローチが初登場)
2巻 38粒
(「どこかでだれかがの巻」「わが友・コンポコ」で、仁丹がなくなる事態が発生)
3巻 55粒
(「弾丸よりもはやくの巻」で、弾丸がブローチに命中。
仁丹が散らばる)
4巻 39粒
(「ずっこけお正月の巻」に、ジャイアンとスネ夫がゲスト出演)
5巻 32粒
(「サマー・ドッグの巻」で、テレポートの原理を利用し、魔美の血液をケガ人に輸血する)
6巻 29粒
(「恐怖のサンドイッチの巻」で、食中毒患者の胃の内容物を部分テレポート)
7巻 44粒
(「サブローは鉄砲玉の巻」で、久々に仁丹がなくなる)
8巻 26粒
(通常テレポートの擬音は「パピ」だが、「いたずらの報酬の巻」で友人・高畑から映画の招待券をもらった際の擬音は「ハッピー」であった)
9巻 45粒
(最終話2話では、魔美が意図的に、超能力を人前で使うシーンがみられる。全編を通じて、これはきわめて異例のこと)

というわけで、主人公・魔美が作中で消費した仁丹の数を集計すると、336粒であった。ちなみに、今回の検証結果はあくまでライター調べによるものなので、「納得いかん!」と思っても、小学館やエキサイトに確認しないように。
結果に疑問を感じた方は、藤子・F・不二雄大全集の8月発売分から『エスパー魔美』の刊行がスタートしているので、こちらをご購入のうえ、楽しく読み進めながら数えていただきたい。

最後に、久々に『エスパー魔美』を読み終えて。
ギャグあり、シリアスあり、ヒューマニズムありで、非常に面白かったです。

「理くつじゃないんだよ、人をしんじるってことは」など、F先生ならではの心にしみる名言も盛りだくさん。ぜひご一読あれ。
(新井亨)