愚痴、悩みを聞いてもらう相手は、いつも決まっている。誰にでも話せる話題じゃない。
でも、黙って聞いて受け止めてくれる、そんなタイプの知人がいるのだ。
そういえば、俺に悩みを打ち明けてくる奴はいねえな……。

ところで、電話をすると24時間態勢で愚痴、悩みを聞いてくれるサービスがあるという。その名も「聞き上手倶楽部」
話がしたくても相手がいないとき、うってつけのこのダイヤル。やはり、聞き上手なスタッフが揃っているんだろうか?

まず、同社にサービス起ち上げのきっかけを伺ってみた。
「当社の代表である菊本は、元々美容師だったんです。そこでは、お客さんの話を聞けるスタッフが人気を獲得するという現実があり、人の話を聞くことの大切さを痛感したらしいです」(担当者)

また同社の代表自身が「誰かに話を聞いてもらいたい!」と、熱望した経験もきっかけの一つ。
「菊本がイギリスに留学した時、つたない英語で用件を伝える程度の語学力はあったのですが、日常会話が全くできなかったんです。それが非常に辛かったらしく、最終的には日本人の観光客を捕まえて話し込んだようです」(担当者)
そんな“痛み”がわかる人だからこそ、思いついたサービスか。

では、話を聞く上での“コツ”ってあるのか? 思わず、胸のうちを打ち明けたくなるような……。
「まず、“否定しない、批判しない”というのがあります。
あと、“上からものを言わない。同じ目線で話を聞く”。寄り添う姿勢を心掛けております」(担当者)

確かに相談するからには、寄り添ってもらいたい。そこで、どんな悩みを持った方からの相談が多いのか? 伺ってみた。
「その日の出来事や愚痴を聞いてもらいたい方が多いようですが、根っこを辿るとどの相談も“人間関係”に行き着きます」(担当者)
100人いれば100通りの悩みがある。しかし、悩みの根源は皆が一緒のようだ。

そこで、今までの相談の中でも特に変わった内容のものをコソっと教えていただいた。
「20代の男性会社員からのご相談だったんですが、勤務中に雑誌を読んでいた仲間から『一緒に読もうよ!』と、誘われたそうなんです。そこで仕事をするために断ったら、後から上司に呼び出され、『そういう時は、一緒に遊べ! 社内の空気を壊すな』と注意されたそうで……。多勢に無勢の相談者から『僕、間違ってますか!?』と、切実な叫びをいただきました」(担当者)
もう、不憫としかいいようがない。そんな世の中だからこそ、このサービスがあってよかった。

ちなみに、「聞き上手倶楽部」にかかってくる1日の相談件数はどのくらいか?
「日によって、全然違うんです。
1日5~6件の時もあれば、20~30本かかってくる日もあります」(担当者)
2006年のサービス起ち上げ時は女性からが多かった相談も、今では男女半々くらい。そして、相談された方のほとんどはリピーターになるそうだ。

また、話し相手になってくれるスタッフについて。
「現在は計27名が在籍しており、4名の男性スタッフと23名の女性スタッフで構成されています。皆、当社が認定する“リスニングマスター”という資格を取得するセミナーを受講しており、認定試験に合格し、なおかつスタッフとなることを希望した人が採用されています」(担当者)

そんな、プロ達が揃う同サービス。料金は10分あたり1,000円で、予約も不要。腹の虫が収まらないときにダイヤルすれば、ひたすら愚痴や悩みを専門家が受け止めてくれるようだ。

自分の気持ちを話すことにより、心の負担が軽くなり、頭の中が整理される。そして、“すべてが受け入れられている”という安心感が得られる。
「話せば楽になる」を、地で行くサービスではないか。
(寺西ジャジューカ)
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