従来はCCFL(蛍光管)と呼ばれるものをバックライトとして使用する液晶モニターが主流であったが、最近は代わりにLEDを搭載したモニターが登場。LEDは低消費電力が大きな特徴だが、どうしてCCFLでは“ちらつき”が目立たず、LEDだと起こりやすいのだろうか。
「一般的な液晶モニターは、バックライトの点滅時間の長短で明るさを制御しています(PWM方式)。この点において、蛍光管に比べるとLED素子の点滅がよりはっきり目に感じてしまうため、人によって“ちらつき”として感じる場合があるようです」
蛍光管とLEDの点滅の違いについてもう少し詳しく説明すると、
・蛍光管はOFFしても光が直ちに消えないため、目に見える明るさの時間的変化が少ない
・LEDはOFFにしたら直ぐ消えるため明るさの変化が大きくなる
ということ。このLEDの明るさの時間的な変化の大きさが“ちらつき”として見えるという。
つまりは、LEDの特性に加え、バックライトが点滅する調光方式(PWM)がそもそも問題なわけ。そこで、点滅しない方式(DC)というのも存在する。これはLEDなどに流す電流を増減させることで明るさを制御する方法。だが、
・回路構成が複雑になる
・低い輝度での色再現性が難しい
・回路および素子の性能上あまり低い輝度に設定できない
といったデメリットを抱えているので、現状では製品化が難しい。
つぎに一番気になるところ、つまり“ちらつき”が発生するモニターを使用した場合、目に対する負担はそうでない場合に比べてどうか。
「医学的な因果関係は当社としては何とも言えませんが、調査では“ちらつき”のないモニターに比べると疲れやすいと言われる方が多い結果になっています」
そこで同社は北里大学医療衛生学部に、PWM調光とDC調光の両方について評価を依頼。すると、やはり“ちらつき”を感じにくいモニターを使用する場合が最も自覚的な疲労が少なく、画面が見やすく作業に集中しやすい、というアンケート結果が出たそうだ。
では、“ちらつき”を抑えた液晶LEDモニターはないのだろうか。実は存在する。ナナオさんから8月と9月に新発売の『FlexScan EVシリーズ』の『2436W-FS』『2336W-FS』など4つのモデルがそうで、前述のPWMとDCを組み合わせた新しい調光方式「EyeCare調光」を採用。これによって、
・DC調光で高輝度時表示のときのLEDの点滅を最小限に抑える
・PWM調光では色再現性や安定性を維持しつつ、低輝度(約1cd/m2)を実現
両方式のハイブリット化で「いいとこ取り」を果たしたわけだ。
パソコンのモニターは常に目の前にあり、見つめ続けるもの。だからこそ、眼に優しいものを使いたい。
(羽石竜示)