review

イイ気になって本を読んで、イイ気になって感想を書いたりしてごめんなさい。小説家・清水博子が好きでした

小説を書き続けるには、ある程度腹をくくってバカになるか、さもなければ書き続けることについて自分で反省してしまう自家中毒を一種の芸にするか、という選択肢にぶつかってしまう。清水博子はしばしば後者を選び、『街の座標』や『処方箋』ではそれが魅力になっていた。この2作と、『ぐずべり』連作は、私にとってとても大事な作品になっている。

いっぽう『ドゥードゥル』の表題作や『カギ』ではその自家中毒の毒がかなり強い。
とくにアゴタ・クリストフの『悪童日記』(堀茂樹訳、ハヤカワepi文庫)をちょっとだけ思わせるメタミステリ的な構成の『カギ』では、記述者の姉妹のうち、姉の性格の悪さはまあいいとしても、妹があまりに気持ち悪いせいで、私は読後体調を崩した。この文章のために再読して、やっぱり体調を崩した。

石川忠司さんはどういう意味で、清水博子の散文が〈不潔〉と言ったのか。
私なりに言い換えると、読者に緊張感を与え、ストーリーそれ自体に没頭させないためのノイズが、計算ずくで数多く文章に埋め込まれているということだ。
ストーリーやキャラクターに集中させてくれる、つるんとした文章のほうが、多くの人には好かれるだろう。つるんとした文章は清潔で埃ひとつ落ちていない。埃や塵を書いてもつるんとしている。でもそういう文章は、退屈な文章になる。だから世間で人気の小説はしばしば、ただオタクっぽくて退屈なのだ。つるんとした文章で書かれた小説のうち、その人工的な感じや表面温度の低い感じを魅力にできるのは、ごく少数の例外だけだ。

あわせて読みたい

レビューの記事をもっと見る

トピックス

今日の主要ニュース 国内の主要ニュース 海外の主要ニュース 芸能の主要ニュース スポーツの主要ニュース トレンドの主要ニュース おもしろの主要ニュース コラムの主要ニュース 特集・インタビューの主要ニュース

もっと読む

トレンドニュースランキング

トレンドランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る

エキサイトレビューとは?

エキレビ!では人気のドラマやテレビアニメ、話題の書籍を人気ライターがレビュー、解説! 人気ドラマのあらすじや、話題の書籍が支持される理由の考察、国民的アニメに隠された謎の解明など話題の作品の裏話を紹介。エキサイトニュースは、最新ニュースをすばやくお届け。

その他のオリジナルニュース

通知(Web Push)について

Web Pushは、エキサイトニュースを開いていない状態でも、事件事故などの速報ニュースや読まれている芸能トピックなど、関心の高い話題をお届けする機能です。 登録方法や通知を解除する方法はこちら。

お買いものリンク