彼を取り巻く動物たちの中でも特に謎めいているのが、ぼのぼのの空想の中に登場しては「どんどんしまっちゃうからね~」などと言ってぼのぼのを岩の間に閉じ込めようとする“しまっちゃうおじさん”。
そんなおじさんの絵本『しまっちゃうおじさんのこと』(竹書房/926円税抜)が先ごろ発売され、ネットを中心に話題沸騰中。これはアニメ版DVD BOXの竹書房限定特典だったレアアイテムを商品化したものです。
しまっちゃうおじさんが本当にいるのか気になって仕方ないぼのぼのは、ある日突然現れたおじさんに、あるお願いごとをするのですが……。ストーリー中でおじさんの正体が明かされるのかどうかは、読んでみてのお楽しみ。マンガ本編とは異なり、色鉛筆で描かれたやわらかなタッチがとてもキュートです。
この“キングオブ謎キャラ”しまっちゃうおじさんについて、作者のいがらしみきおさんにうかがいました。
――しまっちゃうおじさんは1995年のアニメ化当時に子供だった世代にとっては、かなりトラウマ的な存在として知られていますが、作者としてこの捉えられ方についてはどう受け止めていますか?
「トラウマ的なものとして作ったんですが、作者が思っていたよりもみなさん怖がるのでちょっと意外でしたね」
――しまっちゃうおじさんについては、ファンの間で“暗に死を意味する存在なのではないか?”という説が出たり、人によって様々な捉え方があると思うのですが、当初は物語の中でどういう役割を担うキャラクターとして登場させたのでしょうか?
「本当はぼのぼのの妄想を止めてくれるものとしての役割があったんですが、いつのまにか『悪い子』をしまってしまう方向へと拡大されてしまいました」
――『まんがライフ』(竹書房)で連載中の本編にも約17年ぶりにしまっちゃうおじさんの名前が登場していたり、発売中の6月号の付録にも人気漫画家さんたちによるしまっちゃうおじさんのトリビュート漫画が掲載されていたりしますね。しまっちゃうおじさんが今盛り上がっているのは、どうしてだと思われますか?
「ネット発の“マイキャラ”ブームとでもいうような流れがあると思います。みんな自分だけのマイキャラを欲しがっているのではないでしょうか」
――しまっちゃうおじさんって結局、どんな存在なんでしょう?
「しまっちゃうおじさんはいるのかいないのか、みんなが『いる』と思えば、それはやはりいることになるのではないでしょうか。しまっちゃうおじさんは、そういうサンタクロースのような存在です」
いるような、いないような……しかし、おじさんはどんな子供の心の中にも必ずいる、わかったようなわからないような存在なのだと筆者は解釈しました。
ちなみに絵本を買った人だけのお楽しみとして「絵本の中には、しまわれたぼのぼのが5個隠されています。ぜひ探して、ぼのぼのを助けてあげてください」(担当編集・辻井さん)というミッションもあります。まだ絵本を読んでいない人! 早くチェックしないと、あなたもしまわれちゃいますよ?
(古知屋ジュン)