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『生ける屍の結末「黒子のバスケ」脅迫事件の全真相』の衝撃。冒頭陳述は間違っていたのか

(筑摩書房)ほか1冊を挙げる。
高橋医師の本はたまたま僕も何冊か読んだことがあった。『消えたい』で高橋医師は、幼児期の虐待を経て成長した人を〈異邦人〉と呼び、彼らが抱える生きづらさの根源に、彼らが抱える独特の世界観──幼少期に形成されてそのまま変更されず、当事者たちをとらえつづけている世界観──を見る。

7月の公判でも渡邊被告は、用意した最終陳述の全文は読むことを許されず、最終陳述はやはりYahoo!ニュースで全文公開となった。
被虐鬱の概念を知った被告は、ここで冒頭陳述を撤回し、みずからの幼少年期体験──家庭での虐待と、学校でのいじめ──を開示しはじめる。
渡邊被告はこういったことを「隠して」冒頭陳述を書いたのではない。「被虐鬱」によって歪んでしまった認知(世界観)をつうじて書いたから、冒頭陳述が渡邊被告自身の内実をうまく表現できなかったのだ。
被告が自分の言葉で書いたはずの冒頭陳述は、自分が自分をどう思うかを書こうとしているにもかかわらず、世間(自分をいじめた人たちを含む)が自分をどう思うだろうかという想像を書いてしまっているようなところがあった。たとえば以下のように。

〈自分の人生と犯行動機を身も蓋もなく客観的に表現しますと「10代20代をろくに努力もせず怠けて過ごして生きて来たバカが、30代にして『人生オワタ』状態になっていることに気がついて発狂し、自身のコンプレックスをくすぐる成功者を発見して、妬みから自殺の道連れにしてやろうと浅はかな考えから暴れた」ということになります〉
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