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8/10は「道の日」じつはそっくり高速道路と古代の道路 

       
本書では、この七道駅路と現在の高速道路の共通点のひとつとして「路線位置」があげられている。のちの江戸幕府も五街道と呼ばれる道路網を整備したが、高速道路のルートは五街道よりもむしろ古代の七道駅路と同じ場所を通ることが目立つという。それというのも七道駅路も高速道路も、遠くの目的地に狙いを定めて計画的に結ばれており、「計画性と直達性」という点で共通するからだ。これに対して江戸時代の街道は細かい集落をつなぎ合わせたもので、明治以降の国道もこれをほぼ踏襲している。

たとえば江戸期の五街道のひとつ中山道は木曽谷を通っており、現在の国道20号もJR中央本線もこれを踏襲している。これに対して中央自動車道はそれよりも東側の伊那谷を通り、飯田(長野県)から中津川(岐阜県)にかけては延長8キロ超の恵那山トンネルで抜ける。このルートは古代の駅路のひとつ東山道とほぼ重なる。しかも恵那山トンネルは、七道駅路のなかでも最大の難所とされた神坂峠の真下にあたる。中央自動車道の工事関係者は、恵那山トンネルの換気孔が東山道の駅路跡をつぶすと地元の史家に抗議されて初めてその事実を知ったという。

本書の著者である武部健一もまた、かつて建設省(現・国土交通省)の技術者として東名高速道路の建設に携わったときに、計画ルートが駿河国分寺(静岡県)の遺跡にかかっているのではないかとの指摘を受けた経験を持つ。結局、国分寺跡が確認されるまでには至らず、路線は変えないまま構造を高架に変更して、できるだけ寺院の遺構を損壊を少なくすることで解決したという。

このほかにも高速道路の計画・建設に従事するうち似たような経験をした著者は、調べていくうちに高速道路と古代駅路の関係を知ることになる。『道路の日本史』は、著者がそうした実務者としての体験を交えながら日本の道路の歴史をつづったユニークな一冊だ。
(近藤正高)

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