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漫画家にとって自分の右腕、左腕を切り落とす行為とは…赤塚不二夫が凄い理由

       
──しかしね…正直言ってこれらの新作マンガはかつての大ヒットギャグマンガを越える内容ではなかったですね。特に絵がひどかった。チーフとして頑張ったつもりでしたが…後年それらの単行本を見てショックでした。(中略)
峯松「先生この本のカバー見て下さい…ボクが描きました…ひどいです(当時アルコール依存症で思うように筆をとれない先生になり代わりボクが描いたカバー絵)」
赤塚「ほ〜。ワハハハッ、こりゃひっどいねえー。でもな…ここに誰の名前がある」
峯松「赤塚不二夫……先生の名前」
赤塚「オレはね元々絵がヘタなの。だから高井ちゃんとか古谷ちゃんとか、他にも上手なヤツに手伝ってもらってやってたんだよ!! それが元に戻っただけなんだよ。だからこれはお前の失敗じゃないよ。オレの失敗!!」

赤塚作品の優しい一面


本書には3作の赤塚作品が再録されている。そのうちの1編「トキワ荘物語」は、親友・石森章太郎との友情を描いたものだ。最初の連載作品「ナマちゃん」は石森のアドバイスから生まれた。そうした人の縁を赤塚先生は大事に、受けた恩を絶対に忘れなかったのだ。
赤塚先生は映画マニアでもあり、その作品には多くの名画の刻印が残されている。少年サンデーにおける最初のヒット作となった「おそ松くん」は、中途からイヤミとチビ太という名優を得て生まれ変わった。六つ子を中心にした人情ギャグから、イヤミとチビ太が狂言回しを務めるギャグ劇場になったのだ。そのころの傑作の1つである「チビ太の金庫破り」が本書に収録されている。刑務所帰りのチビ太と彼を追いまわすイヤミ刑事の確執を描いたもので、『天才バカボン』や『レッツラゴン』の極北のナンセンスとはまた違った、赤塚作品の優しい一面がよく現われた一編だ。「おそ松さん」で赤塚先生を再発見した方にもぜひ「チビ太の金庫破り」を読んでもらいたい。
(杉江松恋)

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「漫画家にとって自分の右腕、左腕を切り落とす行為とは…赤塚不二夫が凄い理由」の みんなの反応 1
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    こんにちは。宜しくお願い致します。 桂米朝、立川談志の弟子にこれと言うのがいないのと同じく、赤塚氏も同様。ギャグのキレもそうだが、優しさがない。北見、高井、古谷各氏の女性キャラには魅力がない。

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