脚本:中島丈博 演出:西本淳一

ロミオとジュリエットは墓場ではやってない
ベッドで泣いている美輪子(逢沢りな)のサービスショット・ショートパンツからの太ももむき出しがたまらない、12話の幕開けです。
それにしても、ここまで、性欲をむき出しに描くドラマは、昼ドラくらいですよね。
理屈でもなく、美談でもなく、ましては、恋愛っていいよね的な単なる雰囲気でもなく、ただただ、やりたいだけの、若いふたり。
それを、「親の因果が子に報う」と萌子(山口いづみ)は言います。
親・眞澄(伊藤かずえ)は、自分だって同じように見境ない性欲に溺れた結果、出産し、その子を手放すことになったというのに、いまや、ガミガミ、若さゆえの暴走を咎めます。人生設計めちゃめちゃになったとか後悔しているようですが、結果的にこんな大金持ちの奥さんに収まっているのだから、人生、なるようになると子供のやってることを広く受け止めてあげたらいいのに。まあそれじゃあドラマが成立しませんけど。
障害があればあるほど盛り上がるのが、恋!
まるで「ロミオとジュリエット」のように。ロミジュリは、敵対する家の子供たちが出会って恋して死ぬまでをわずか5日間で駆け抜けた、ジェットコースタードラマの代表格です。
12話で、辛抱たまらず、親の眼を盗み、小銭をかき集めて(小銭貯金って・・・お金持ちほど小銭を大切にするってことですか)会いに来た美輪子に、多摩留(戸塚純貴)が、性欲爆発危険レベル(15日、Twitterトレンドで上位に上がっていたワード)の高さを見せつけます。思わず、診断メーカーで、吉田多摩留の名前を入れてみたところ、
「【警告】「性欲爆発危険レベル」吉田多摩留■■■■■■■【レベル7】(欲求不満度 35000%)変態王が暴走しています。もう手遅れです。みんな逃げてー!」と出ましたよ。
名前が、溜まる(多摩留)って、己のエロさを宣言しているちょっと恥ずかしい人が、自己正当化のために、「ロミオとジュリエット」を引き合いに出し、墓場でやっていると言いますが、さすがに、ロミオとジュリエットは墓場でやるほど性の深遠を探求してはおりません。墓場は、ジュリエットが一時的に仮死状態になってそこに運ばれるようにして、そこでロミオと落ち合って駆け落ちする予定の場所でした。
多摩留の言う「火の玉」は、ジュリエットの台詞「走って、速く、炎の脚の若者たち。日の神フィーバスの今宵の宿へまっしぐらに。」(松岡和子訳を使用させていただきました)に近いものがありますけどね。
さすがの美輪子も、若い男子の愛と肉欲をはき違えたところに耐えられなく、あっという間に熱が冷めてしまったようですが、揚げ物を見て、胸がいっぱいになるのは、もしかして眞澄と同じ展開に? 胸騒ぎが止まりません。
(木俣冬)