
イモ天と口紅
天ぷらを大量に食べることで美輪子(逢沢りな)の目を覚まさせようとする富貴子(黛英里佳)。
ワイワイ大声で騒ぐものだから、お店のお客さんたちはそっと出ていきます。
多摩留のお母さんが、食べろ、食べろと、虐めのごとくイモ天をまるごと口にぐいぐい入れると、叫んで失神してしまう美輪子。
このとき、美輪子のぽってり塗った口紅が、天ぷらの衣と触れ合って、油と油の戦いに口紅が負けて、とろりと唇からはがれるのが生々しい〜。
第一話の出産シーンの汗だくな顔も生々しかったけれど、これもかなりのもの。東海テレビの昼ドラの泥臭ささ、最高です。この枠がなくなるのがほんとに惜しい。こういう描写は、どこかで受け継いでほしいと切に願います。
ところで、誰もが思ったのはーー
最終回か!
目覚めた美輪子は、富貴子の荒療治が効いて、忌まわしい過去を受け入れ、乗り越えます。
富貴子は富貴子、ぼたんはぼたん、と分けて考えることができた後、富貴子を大切な姉として認め、こうしてふたりは仲良く暮らしましたとさ。
……にならないで、まだ続くんですね!
「新・ボタバラ」は、「嵐が丘」とか、シェイクスピアの「冬物語」だとか、血が血を呼ぶ、みたいな昔ながらの物語と思わせて、無理矢理戦いを続けさせられるジャンプの人気漫画のようです。
がんばれ、中島先生!
それと、がんばれ、美輪子!
多摩留と家族と撮った写真で、あからさまにうなだれている美輪子の表情も最高でした。逢沢りなさん、子鹿のように折れそうな身体ながら全身全霊で役にぶつかっていく感じがすばらしいです。
(木俣冬)