しかし、替え歌を巡った騒動は過去にも起きている。
ミリオンヒットとなった「会いたい」
1990年に発売された沢田知可子の「会いたい」。「今年も海へ行くっていっぱい映画も観るって約束したじゃないあなた 約束したじゃない、会いたい」という、愛しい人の死を悲しむ歌詞は多くの人の心に響き、大ヒット。
約105万枚を売り上げるミリオンヒットとなり、NHK紅白歌合戦にも出場した。
「会いたい」の替え歌を披露した沢田知可子
しかしこの曲を巡った訴訟騒動が起きた。
ことの発端は2013年に沢田が出演した「さんまのスーパーからくりTV」(TBS系)にて。沢田はこの番組の替え歌コーナーに出演し、「安定したい」という「会いたい」の替え歌を披露したのだ。
「安定したい」は、沢田がバブル期に購入したマンションが一気に値下がりしたことや印税が少ないことなどへの恨み節を歌ったもの。元の曲は涙を誘う内容であったが、「安定したい」はバラエティ番組で披露されたこともあり、笑いを誘うものとなっていた。
替え歌から訴訟問題に
これに怒りを覚えたのは、「会いたい」の作詞者である沢ちひろ氏。沢氏が小学生のころに亡くなった母親を思って作った曲であることもあり、笑いを目的とした改変に対して「曲が大事にされていない」との思いを抱いたようだ。
さらに騒動に火を注ぐ結果となったのは、翌14年に沢田が発売したアルバムにタイトルと歌詞が一部変更された「会いたい~with INSPi」が収録されたこと。これは作詞者の沢氏に無断で収録されたという。
沢氏はこのアルバムの販売中止を求めただけにとどまらず、CDの販売元を著作者人格権侵害で提訴したのである。
騒動の結末は…?
騒動は、原告の沢氏側から訴状が取り下げられたことにより、2015年に決着した。
沢田は騒動決着したことを2015年7月の公式ブログに、以下のようなコメントを発表している。
「本当にご心配をおかけ致しました。これからも歌手としてより一層精進して参りますので、どうぞ応援のほどよろしくお願い申し上げます」
替え歌は、制作者の想いをしっかりと考えてから披露した方が良さそうである。
(せんじゅかける)
※イメージ画像はamazonより抱きしめて