東京湾ではトラフグが一段落し、代わって台頭してきたのがショウサイフグ。
湾フグシーンの一年のうちでも熱いシーズンの到来だ。
「4月中旬ごろまでは厳しかったですが、ここにきて浅場でまずまずの食いを見せています」とは東京湾奥鶴見・新明丸の林大地船長。
釣り場は大貫沖の水深5~10mほどの浅場で、アンカーを打っての釣りが基本となる。
10号の軽いオモリを使い繊細なアタリを引き出していくテクニカルな釣りだが、浅場で大型が掛かってくるから大興奮モノ。
取材した4月25日はトップ10尾と数こそのびなかったが良型主体にすでに白子を持つ個体も出始めて、いよいよ初夏の好期に突入する。
その味わいにも注目してほしい。
▲釣り場は大貫沖の水深5~10m前後
釣ったフグはクーラーへ!
新明丸では釣れたフグはすぐに水氷の効いたクーラーに仕舞うことを推奨している。
「バケツに入れておいたフグとは身の締まりが全然違いますよ」とは船長で、血抜きも不要とか。
もちろん釣ったフグは免許所持の船長がさばいてくれ、身と白子を持たせてくれる。
さばいてくれた身は私の経験上で1、2を争うきれいさ。
家でさっと水洗いするだけで調理できるほど。
▲おいしく食べるためにしっかり冷やしておこう
この春、東京湾のトラフグは異様とも言える盛り上がりを見せたが、これからの主役の座はショウサイフグに移行、つまり湾フグが初夏の好期を迎えるというわけだ。
今回取材した東京湾奥鶴見の新明丸は、昨今のトラフグフィーバーには目もくれず湾フグ一筋の老舗船宿。
「同じフグ釣りといってもトラフグとショウサイフグでは釣り方が全く違いますよね。
父親もフグ船の船頭だったという湾フグサラブレッドのDNAを持つ船長だ。
最近の釣況を聞くと、「4月中旬までは正直厳しかったですが、ここにきて浅場でも釣れるようになり数もそこそこ釣れるようになってきました」と明るい兆しのようで、4月下旬現在の釣果はトップ10~15尾ほどで推移している。
釣り場は航程50分ほどの大貫沖で、水深は5~10m前後。
「ほかの船はやらないような場所もありますよ。ウチはマゴチ船も出しているんで情報をもらったりして、釣り場の開拓ができるんです。またこれからは海苔網が徐々に外されていくので、釣り場はもっと広がり釣果ものびていくと思いますよ」
オモリはフワ~ッと落ちるナツメ型を推奨
釣り場の水深が浅いため竿は色いろな物が使えるが、テクニカルな釣り物ほど専用竿がほしくなるもの。
湾フグもその一つで、極小のアタリをキャッチする目感度に優れた繊細な穂先を持つ湾フグ用の専用竿がベストだ。
「好みもあると思うけど、専用竿の中でも極力胴のしっかりした竿がいいと思います。最近の竿は胴が軟らかめで、掛けた後に曲がり込むタイプが多いんですけど、掛けて巻くときにバラすのはそんな竿に多いと思います」と船長はアドバイスする。
専用竿以外から選ぶなら、カワハギ竿や外房用カットウフグ竿あたりならそれほど違和感なく使える。
リールは小型両軸で、巻き合わせや掛けた後フグの食い上げに対応するため、ギア比の高いハイスピードモデルが望ましい。
道糸はPE1号が船宿推奨だが、「釣り場の水深も浅いし、ウチはマゴチ釣りのお客さんでたまにはフグも、って方もいるので、よそよりは縛りは緩く2号までならOKですよ」とのことだ。
仕掛けは図のとおり。
カットウ仕掛けの上に食わせバリを付けた仕掛けを紹介しているが、「たしかに食わせバリに食うときもありますが、それはフグが浮きやすい夏以降ですかね。今の時期はアカクラゲにつかまる率も高まるので、なくてもいいかも」と船長。
その場合は仕掛けに遊びを持たせる意味でフロロカーボン4号1mの先糸を付けるといいようだ。
オモリの形状は丸型とナツメ型に大別されるが、「自分はナツメ型をすすめますね」と船長。
「シャクった後にオモリ(仕掛け)がストンと落ちるのではなく、フワ~ッとフォールしてアピールしてほしいんで。それにはナツメ型のほうがいいんです」というのがその理由だ。
とくに潮の流れが緩い場合は顕著で、丸型を使うのは潮の速いときや10号以上を使うときだという。
オモリの号数についても、「カットウ釣りの場合、オモリの動きが直接エサの動きにつながるのでとっても大事だと思います」
基本は10号だが、軽ければ軽いほどよいとのことで、理由は前述の「フワ~ッとフォール」してほしいからだ。
ただしフォールした後、海底では動かずにフグに食わす間を与えることも大事だから、底ダチが取れて海底でしっかりと止めていられる最低の号数が理想ということだ。
エサ付けするハリには、テンヤバリ1本タイプとチラシバリタイプがあるが、これについては状況次第と船長。
テンヤバリはエサのエビを1匹付けにするのでエサのシルエットが大きくアピール効果があり、チラシバリはハリに直接食ってくるのでアタリが明確という特徴がある。
アタリが取りやすいという点ではチラシバリが有利だが、チラシバリに掛かることもあってその場合は手返しが落ちるし、オマツリ時にも複雑になりやすいなどのデメリットもある。
オモリの形状、号数にせよエサバリのタイプにせよ、「よく釣る人は状況に応じてまめに仕掛けを替えてますよ」とのことなので参考にしたい。
▲30cm前後主体だった
エビが跳ねる動きを演出しフワ~ッとフォールで誘い底で止めてアタリを出す
この釣りはアタリに対して合わせてカットウバリに掛けていく釣りだが、単に引っ掛け釣りだと思っていると痛い目にあう。
とくに、アタリを出すことを考えると実に奥深い釣りなのだ。
「この釣りの勘所は、エビが海底からピョンと飛び跳ねるイメージのシャクリ、フワ~ッとしたフォールでの誘い、底ではピタッと止めて食わせる、の3つです」と船長。
また、底で止めて待つときにアタリが出ることが多いが、そのときに糸は張らず緩めずのゼロテン状態にするのが基本だという。
竿先が曲がるほど張っているとエサが動きやすいし、逆にたるんでいるとアタリが出ない。
このためゼロテンをキープすることがアタリを出しやすくする。
そのためには竿の構え方も大事で、竿先が目線の高さよりやや下にくるようにする。
竿先が水平よりも下がるとゼロテンのキープが難しくなり、またシャクリや合わせも大きくなりがちなのでNGだ。
シャクリは強く行う必要はなく、海底のエビが飛び跳ねるイメージでスッ!と30cmほどシャクればOK。
強いシャクリはフグを散らすだけだと心得よう。
シャクった後は仕掛けをゆっくりと海底まで下ろすこと。
落とすではなく下ろすで、これもフグへのアピールだ。
そして着底後はゼロテンをキープしてアタリを待つ。
待ち時間は5秒が基本で食いが渋いときは少し長めに待つ。
状況に応じて5~10秒の間隔でシャクるようにしよう。
アタリはガツガツ!と分かりやすく出ることもあるがそれはまれだ。
大抵はコツン!とかチクチク!と極小の場合が多く、竿先がわずかに震える程度なんてこともある。
エサをしつこく追ってくるイメージがある魚だが、湾フグはこの繊細さも持ち合わせている。
アタリが出たらフォール中以外は基本的に即合わせする。
フォール中(特に仕掛け投入時)はエサよりカットウバリが上にあり、合わせても掛からないことがほとんど。
そんなときはそのままフグを海底まで連れていき、底でのアタリで合わせればカットウバリに掛けやすくなる。
合わせはシャクリの延長程度でよく、フグがハリに乗ったらリールで巻き合わせながら竿を立てていく。
掛からなくても派手な大合わせでない限り、フグは散らずにまたエサを食いにくるので、再度仕掛けを着底させて次のアタリを待とう。
無理に掛けよう、掛けようとするとドツボにハマる。
優しい誘いで繊細なアタリを出して、静かに掛けていくイメージで挑もう。
▲小型だがトラフグも交じった
群れは固まっていないが丸まるの良型主体に満足
取材日、朝イチに入ったポイントは大貫沖。
富津岬をかわしてすぐの第一海堡の南側周辺の水深5mにアンカーを打ち、釣りを開始した。
近くには海苔網のブイが見える。
「5月に入れば撤去されるので、釣り場はより広がりますよ」と船長。
釣り場の決め方を聞くと、「まだ反応を出すほど群れが固まっていないので、水深、海底地形、最近の状況などで決めています」と教えてくれた。
周辺にフグはいるがまだ固まっていない状態で、回遊してきた食い気のあるフグを釣っていく感じだ。
したがってシャクリや誘いがより重要になってきそうな展開。
開始早々に右舷トモ、トモ3番、トモ2番と間を置きながらも連発。
なかなかいい感じのスタートだ。
皆さんの仕掛けを確認すると、ナツメオモリと丸型オモリの割合は半々、チラシバリとテンヤ1本バリの割合も半々といったところ。
船長の話では、「最近はチラシバリの方が多いように思いますよ」とのことだ。
フグ釣りに慣れた方も多く、チラシバリ派はエサのアルゼンチンアカエビをほどよい大きさにカットし、1本バリ派の人も頭を取り、何節か殻をむいてスタンバイ状態にして保存容器に入れている。
集魚剤など添加剤を使う方も見受けられた。
1時間半ほどこの場所で粘って、アタリが遠くなるとこの日初めての移動が告げられた。
やや南寄りへと船を移動。
ここは少し深くなって水深7mほどだ。
私もここから竿を出し様子をうかがうことに。
仕掛けはナツメオモリ10号のチラシバリタイプだ。
ほどなくしてコツンと比較的ハッキリとしたアタリが出る。
すかさず軽く合わせるとグンとハリへの乗りが伝わる。
高速での巻き合わせも決まって抜き上げたのは丸まるとした良型でカットウバリが目の下辺りに掛かっていた。
しばらくして同じようなアタリで同級を釣る。
これはチラシバリに食ってきた。
このポイントでも先ほどのポイント同様に連釣こそないものの、船中あちらこちらでポツリポツリと釣れ上がっていく。
また釣れ上がるのは中型から良型で、いわゆるピンポン玉サイズは皆無。
「ここら辺のフグは型ぞろいなだけじゃなく太ってていい型でしょう」とは船長で、たしかに肉厚でうまそうな個体ぞろいだ。
この後も徐々にポイントをずらすように移動を重ねていく。
昼過ぎからはアタリが遠くなったが、この日は船中ボウズなしで1~10尾。
座席による優劣は少なく平均した釣果だった。
釣ったフグはもちろんふぐ包丁師免許を持った船長がさばいてくれる。
このさばきが実にていねいで、身欠きになった身は家での処理は全く不要、そのまま調理ができる。
また今年は例年よりも早く白子が入り出していた。
白子率は2割程度だったが私もお宝を2つ持ち帰る僥倖に恵まれた。
今号発売のころからいよいよ湾フグ釣りも佳境に入り、お宝率もグンとアップするはず。
数釣りも狙え、湾フグ入門にも最適期となっているはずだ。
▲カットウバリに掛かった良型
▲パターンが決まると連釣もある
INFORMATION
東京湾奥・鶴見
新明丸
090・4600・1225
▼備考=予約乗合。
7時半出船。
ほかシロギス、マゴチへも
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隔週刊つり情報(2025年6月1号)※無断複製・転載禁止



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